イギリスはビートルズとエプスタインの手中に完全に落ちたのです。イギリスを陥落させた今、エプスタインの目に映っていたのは、言うまでもなくアメリカでした。
アメリカ市場は彼等の最大で最終の目標でしたが、その足掛りとしてヨーロッパ市場を手中に収める必要がありました。
海外進出の第一歩にエプスタインが選んだのはスウェーデンでした。彼は、ビートルズがスウェーデンで大人気であるという情報を得ていたのです。
1963年10月23日、午前中にEMIスタジオで「I Wanna Be Your man」の仕上げのレコーディングを行ったビートルズは、その日の午後スウェーデンに向けて旅立ったのでした。
翌24日、ストックホルムのスウェーデン国営放送で、彼等のために『リヴァプールのポップ・グループ、ビートルズがストックホルムにやって来た』のタイトルで制作される特別なラジオ番組の収録(オンエアは11月11日)を行っています。この番組でビートルズは、スタジオに集められたスウェーデンのビートルズ・ファンを前に7曲を演奏しています。それは次の通りです。
(1) I Saw Her Standing There
(2) From Me To You
(3) Money (That's What I Want)
(4) Roll Over Beethoven
(5) You Really Got A Hold On Me
(6) She Loves You
(7) Twist And Shout
このスタジオ・ライヴは数あるビートルズのライヴ音源の中でもベストの一つに入る名演奏とされています。この日の演奏は、アルバム『Beatles Anthology Vol.1』に7曲中5曲が収録されており、我々も聞くことができます。

(スウェーデン・ライブを収録したCD版『Beatles Anthology Vol.1』)
当日の演奏順は上記の通りですが、アンソロジーでは最後の2曲「She Loves You」
「Twist And Shout」が残念ながらカットされています。カットされた理由は定かではないのですが、他の5曲はバランスが抜群であるのに対して、この2曲はジョージのギターがほとんどオフ気味に聞こえるためかもしれません。あるいは、この2曲に関しては、別のライブ音源を収録していたため、重複をさけたのかもしれません。
またアンソロジーでは、何故か「Roll Over Beethoven」と「You Really Got A Hold On Me」の順番を入れ替えています。これはこの演奏が、丁度1枚目のCDの最終部に収録されるため、曲の座りを考えてのことだと思われます。
さてこのライヴが何故名演奏とされているのか。それはまた明日。