2001年2月に『Good Days』でデビューしたZONEは、二作目として『大爆発No.1』を5月にリリース、そして次回作としてはTBSの昼のドラマ「キッズウォー3」の主題歌に抜擢されることが決まっており、まずはその楽曲を決めねばなりませんでした。ソニーでは、多くの作家から候補となるデモテープを集めまくりました。フェンダーでも頼まれて、知り合いのアーティスト達にデモテープを依頼し、6~7本を集めたと記憶しています。
しかし、集まってきたデモ曲の多くはそれまでの2曲のZONEのキャラクターを踏襲し、明るく元気な曲が多かったのです。そんな中で『secret base~君がくれたもの』を強く推したのはZONE自身でした。
元々は、ランタイムの楽曲を制作していた町田紀彦氏が、TAKAYOのソロ用に作った曲で、今回はそれに手を加えてデモテープが作られました。それがTBSのプロデューサーに認められ、めでたく採用となったのでした。
これまでの2曲では、楽器を持ってはいましたが、明らかに実際には演奏していない、ということを前面に出した振り付けでした。
ところがこの3作目で初めて、自身で演奏をするという試みがなされ、猛練習が行われました。その練習の成果を、初めて発表する機会が訪れます。
2001年8月9日に渋谷AXで開催された『AX BOMBER 2001~真夏のGIRLz BAND STAND~』というイベントに出演が決まっていたのです。
2001年7月31日にZEPP TOKYOで開催された『Girl Pop Factory』にもZONEは出演していましたが、その時は演奏部分がシーケンサーによるもので、本人達はボーカル部分だけを歌っていました。
ところがこの渋谷AXでは、『secret base~君がくれたもの』だけは生で演奏しようと、プロデューサー氏が決めていたのです。
そのイベントはソニー系列の女性バンドが多数登場するコンサートで、ZONEの他にはWhiteberry, detroi7, Strawberry Jam, nico, 12ヒトエが出演していました。
ZONEの出番がやって来ます。まずはデビュー曲、セカンドシングル曲と、振り付きの楽曲が続き、いよいよ『secret base~君がくれたもの』の演奏です。やはり自分の娘が、発表会で演奏するような感覚に襲われて、手に汗を握りながら見ていましたが、何とかやり通した時はホッとしたものでした。
『secret base~君がくれたもの』は、一見8ビートのスローバラードですが、実際には16ビートに近いノリで演奏される曲で、まだMIZUHOにはそのノリが無理だったため、ディレクター氏は8ビートで打たせたのですが、無難にそれをこなしました。
MAIKOも同様にその時は、8ビートでのノリの演奏で、まだタメを持って16ビートっぽく演奏することは無理でしたが、当時の彼女らのできることを十分に出し切っていました。
それから考えるとその翌年には、初めてのツアーをこなしているのだから、伸び盛りの時期に、いかに本人達がその気になって鍛錬を積むかが、本当に大切なのだと思ったものでした。
そのZONEが、次のシングル『世界のほんの片隅から』で楽器をおろしてダンスに再び挑戦するとは思いませんでしたが、その話はまた後日に。