「ずっと気になってるんやけど、みぞおちの辺りになんかコリコリした硬いやつが出来てるねん」
そう言われて触ってみたけれど、私には分からない・・
というか、肋骨の骨があってどれがコリコリなのか分からない。
「ほらなんか硬いのが膨らんでるやん?」
何度も触ってみるけど分からない。
「今度の病院の日にスーパードクターに聞いてみたら?」
その頃にはもう私は通院に同行はしていませんでした。
そして検査の結果、腹壁腫瘍であろうという診断が下されました。
胃ではないから再発・・ではないのか
転移なのか?
夫はものすごく落ち込みました。
再発や転移なく5年を過ごしたい思いが強くありました。
5年間何もなくて、ようやく寛解だと目標を決めていたからです。
私も心臓が跳ね上がるほどショックでしたが、
「手術で取るんでしょ?じゃあ取っちゃえば大丈夫!」
「表面でしょ〜?手術でピッとキレイに取っちゃえばなんてことないよ!」
など明るく軽く言いました。
痛みを伴う手術や不安でいっぱいだったことでしょう。
でも優しくて気持ちの弱い夫には、このことを重く考えて欲しくなかった。
「大丈夫!」
「それよりも退院したら美味しい焼肉をパ〜っと食べに行こう」
「スーパードクターもいけるって言ってたやん?」
そう言い続けるとやっとホッとした笑顔が戻ってきました。
そしてスーパードクターに続き私も、
「大丈夫!」
の言葉を最後まで言い続けることになります。