皆様､こんにちは｡

今朝の8時に勤務を終え月曜日20時の勤務開始時迄の休みです｡久方振りの3時間残業で疲労感は相当ですが後の収入に繋がると思えば老体に鞭を打てば案外動けるものです｡そして遅くなったついでに全ての用事を済ましましたし外出の必要を無くしましたのでこの記事を更新後ゆっくりと休み､一本でも多く映画が堪能出来たらなぁと思っています｡録画済み及び動画配信で未見の作品がかなり積み重なっていますので限度はあるものの手当たり次第でも鑑賞して行かないと追い付きません｡そして本日は現在U-NEXT内のみで有料動画配信(見放題対象作品)が行われている作品からです｡

｢無頼漢仁義｣昭和40年12月4日公開･下飯坂菊馬/野上龍雄の共同脚本･渡辺祐介監督･東映東京制作｡

無頼漢仁義 - 作品情報・映画レビュー -KINENOTE（キネノート）「無頼漢仁義」の解説、あらすじ、評点、1件の映画レビュー、予告編動画をチェック！あなたの鑑賞記録も登録できます。 - 「ダニ」の下飯坂菊馬と「日本侠客伝　関東篇」の野上龍雄が共同でシナリオを執筆、「暗黒街仁義」の渡辺祐介が監督したヤクザもの。撮影は、「昭和残侠伝」の星島一郎。

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地名として｢姫川｣と出て来ますので､作品の舞台は長野県･新潟県を流れる姫川流域であると解釈出来ます｡流れ者の土方･高松英郎が仕事を求めてこの地を訪れると大手建設会社から共同企業体として道路工事を受注していた志村喬及び山本麟一が率いる二つの建設会社が大喧嘩中!そして高松さんは志村の御大の組に加勢した上にのこの社の現場監督の名声を聞き付けていた為に一員に加えて貰える様に懇願しますが｢添書が無いと受け付けられないのが社内規範｣と一蹴したのはその名声高い現場監督の鶴田浩二!しかし鶴田のおやっさんは高松さんが志村の御大の実子ながら大学卒業後に発注先の建設会社の社員となりこの現場の責任者となった千葉真一が作業道具を蹴飛ばした事に立腹し注意したのを見て一員に加える事とします｡

実は鶴田のおやっさんは特攻隊の生き残りで大東亜戦争終結後浅草で一匹狼のチンピラとして荒れていた生活を送っていた時に志村の御大と出逢い救われ今の生活に落ち着いていたものの､数年前に自らの確認ミスで起こした発破事故でこの飯場に従事する藤純子(現･富司純子)の亭主を死に追い遣ってしまった事を悔やみ続けていましたが､その心根と一切の物事から逃げぬ姿勢を皆が知っているからこそこの社の一番の強みとなっていたのは結束力｡しかし工事はヤマリン側が計画通りに進んでいたのに対し鶴田のおやっさん側は10日程の遅延状況…実はヤマリンを下請けとして使っていた元請けの建設会社の社長である山形勲は､ヤマリン達に命じて妨害を仕掛け仮に結果として鶴田のおやっさん側が工事遅延による完成期日の契約不履行となれば､第二次工事として計画されている当地のダム建設工事を独占可能と目論んでいたのです｡しかも｢工事の遅延を取返させる為｣と称してヤマリン側の工事を10日間休止する代わりに休業補償として300万円支払う様に要求し鶴田のおやっさん･志村の御大は反対したものの千葉ちゃんは巧妙な手口に引っ掛かりガタさんから300万円を借用してしまい(この際ガタさんにお色気攻勢で協力をしたのは女給の根岸明美)しかも火の打ち所の無い程手が込んだ借用書を介していた為に絶対絶命の危機に陥り…

｢堅気であっても最右翼と言われる鶴田のおやっさんの我慢芝居に迷いやブレは微塵も無い!｣この一文で当作品の説明は付くと言っても過言ではない程の出来!しかも厳密に言うと｢鶴田のおやっさんが過去にチンピラであった以外は基本として全員堅気の役…しかし裏を返せば義理や仁義等々に縛られぬからこそ侠客よりも筋を要求されぬ荒っぽい手法や法律を盾にした悪意に満ちた手法が通用する｣とも言え｢男の系譜･東映映画｣が確立されてまだ日が浅い内に企画された｢アウトロー路線の新機軸の一つ｣だったのでしょう｡そんな｢荒くれ者の堅気衆｣の前でボソッと弱音を吐いてしまう鶴田のおやっさんの姿は少なくとも俺は東映作品内では観た事が無い…その芝居は非常に新鮮に映った上に我慢に疲弊した姿を自然に見せた辺りは苦悩の連続であった若年期の実体験を生かしたのかなぁとも感じました｡

｢人を殴らず言葉も穏やか､しかも騒動に対しては｢警察に任せるんだ!｣と迄言い放つ鶴田のおやっさんの姿勢｣は｢堅気の世界の解決方法こそが無法者に対しても最も効果がある｣と言わんばかりであり､又はぐれ者の世界を知り尽くしているからこそ噛みしめて大事にしている様にも受け止められましたが､同時に堪忍袋の緒が切れた最後の最後をより凄味のあるものとした要素でもあります｡勉強は出来るが実践不足が落とし穴に嵌まる要因となった千葉ちゃんや高松さんと同様の経緯を持つアイ･ジョージ､洋服姿での芝居は東映時代に限って言えば貴重な純子姐御と共に飯場を支える春川ますみ､床に伏せってしまったのかと思いきや現場の危機の際は道具片手に土方衆と共に汗を流す志村の御大､性根の据わったお調子者の長門裕之等々役者陣も充実しています｡

鶴田浩二の我慢は堅気でも不変!東映東京｢無頼漢仁義｣高松英郎/藤純子･渡辺祐介監督