ランボー ラスト・ブラッド
2019年アメリカ
監督:エイドリアン・グランバーグ
出演:シルベスター・スタローン
正直がっかりした。だって敵が弱すぎる。麻薬カルテルとは言っても下っぱのチンピラ集団。クライマックスの敵勢も、たったこれだけでランボーと戦う気?と呆れた。国家代表みたいに戦ってきたランボーの相手としては物足りな過ぎる。思った以上にあっさりやられるし、アクションも地味で平凡。それをカバーするようにバイオレンス度は今回も振り切れているが、いくらなんでも…と引く程の激しさで痛快さは無い。
しかし、終わってみると思わぬ充足感を感じている自分に驚いた。考えてみれば、時流に乗ってソ連と戦ったりしたランボーだが、始まりは田舎保安官とのいざこざ。スタローンの意向らしいが、ランボー最後の戦いが個人的な戦いなのは間違っていないのだ。
何より衝撃だったのが、ランボーが実家でひたすら穴を掘っていた事だ。地元に帰っても彼は安息が得られず、来るか分からない敵に備えていたのだ。今回はたまたま敵が来たが、来なくても死ぬまで続けていたのだろう。 彼は病んだままなのだ。
そんなランボーに安らぎを与えたのがガブリエラだった。「俺の人生に望めないものを君は与えてくれた」と語るランボーの悲痛さ。過剰な残虐さは、彼の怒りの激しさと、報われない人生送ってきた男の空虚な心内を表している、のかも。穏やかだったロッキーの晩年に対して、ランボーに厳し過ぎやしないかとも思うが、安らぎなんぞ相応しくない!と言い切るスタローンは分かってる人だと思う。
大洋劇場4 20200730