近年の作品に外れなしの園子音監督だが、その作品の最初の印象はどれも荒っぽい。 物語も描写も雑で強引で、どうもとっつき 難いのだ。多分そこが苦手って人も多いん じゃないか。
この映画も、15才にして極端な生き方を選ぶ主人公に、彼に付きまと う ヒロインの鬱陶しさ、彼らを取り巻く環境 の酷さもやり過ぎ気味。中学生相手に振る われる暴力も過剰すぎ。
しかしその過剰さ が次第に観客の感情を震わせ、夢も希望もない状況であがき続ける彼らの心情が心に響いてくる。切迫した状況を容赦なく描き ながら、そこから僅かでも希望を見出そう とする監督の視線は前向きだ。
福島の惨状の映像はとってつけた印象もあるが、先の見えない主人公たちと重ね合わせてみせながら、今現在起きている悲劇を記録したいという監督の意欲が感じられる。
そう、今 はひたすら走りながらガンバレ！と叫び続けるしかないのかもしれない。切なくも力 強いラストに震える。
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