『チャッピーまさと、その仲間達』 -16ページ目

言葉にならない 3

チャンピオンのみんな気持ち乗せたローキックが明らかにプリリップの足をけずる

そして不屈の精神でプリリップの心まで折ろうして右足に気持ちを込める


3ラウンド

4ラウンドとパンチを捨ててのローキックは

プリリップの闘志を殺いだ

そして最終ラウンド

とうとうプリリップの気持ちが折れ

倒れた

会場は絶叫の渦に包まれる


しかしプリリップも粘る

痛めていない右足一本でなんとか立ち上がる

再開後もチャンピオンのローで2度目のダウン!

すごい!

会場中、嵐のような叫びが聞こえる

それでもプリリップも最後まで諦めず立ち上がり

最後の気力を振り絞りまだまだ威力のあるパンチを打ってきたが形勢を逆転するまでの力は残っていなかった


最終ラウンド終了のゴング

判定の結果を聞く必要はなかった



またしでかしてしまった!


この寺戸伸近という人は!

どん底まで落とされても、何があっても

諦めず這い上がってくる男




そして


優弥が寺戸君を肩車した瞬間


一年前に寺戸君が発した言葉


『俺と優弥の原点

キックボクシングを始めた広島で試合をしたい!

優弥、まだ引退なんてショボくれたこと言ってんじゃねえぞ!

まだ俺たちは何も始まってなかろーが!』



と叫んだ言葉が

やっと実を結んだ☆



初めてとても意味のある素晴らしい言葉になった!



優弥や寺戸君との何年も前からのいろんな出来事が

走馬灯のように駆け巡り

この最高の舞台での最高の喜びを噛み締めた



寺戸君が表彰を受けている間

横にいる最高の笑顔の優弥に

この喜びを伝えて一緒に

この最高の瞬間を分かち合いたかったが


喜びも限界を越えると言葉にならないんだなあ


何も言えずに握手しかできなかった









$『チャッピーまさと、その仲間達』

言葉にならない 1

喜びも

想像を越えてしまう喜びは

言葉にならない




昨日のKrush 31 広島


渡辺武選手がKOで1年振りの勝利

幸先良いスタートに

優弥、寺戸、続いてくれー!

と願った

そして

試合前の優弥とのミット練習

決して調子は良くない


優弥には乗せようとして

いくら褒め言葉をかけても効かない

ミットを通じてすべてを理解してしまっているから


でもどこをどうすればフォームを修正できるかは良くわかっている


その後シャドーで相手をイメージしながら

自分ができることを

限られた時間の中で

修正しようとしている優弥の姿を見て

胸が詰まった


一度燃え尽きて

モチベーションが下がった選手は

頭では理解しても体が動かないことがある


たぶん優弥もここ一年以上ずっと苦しんできたはずだ

この試合に向けても

またもがき苦しんでいる


試合が始まり

優弥の顔には試合を楽しむ笑顔はなかった

あるのは自分ができることをやろうとする必死さだけ


相手の強烈なローキックを何発もらっても

決して優弥の気持ちは折れない

前に出る気持ちは体が壊れても

失わない


試合前の煽り映像で

優弥の『俺たちはもう終わってるのかな?』

に対して

寺戸君は『まだ何も始まっていないだろ』

と言う答えがあった

そう!

まだまだ何も始まっていない


優弥は経験したことのない未知の世界で

未知の自分との闘いを始めているようだった


相手の大きく振り回すフックをもらっても

集中力は切らさない


前回の試合で骨折した右足はまだ完治していなくても

その右足を軸に魂の左ミドルを蹴り続けた


寺戸君が優弥を引退させなかった想いが

優弥の闘いに乗り移ったようだった


二人で始めたキックボクシングの原点

広島での開催


選手としてだけでなく

プロモーターとしての仕事をこなしながら

様々な想いを乗せた試合だった


最後の30秒は

倒せ!よりも

殴られるな~!と願った


勝者~
赤コーナー、山本優弥ー!

とコールされた瞬間

喜びは最高だったがホンの一瞬だった


それはこの広島大会は

最後の世界戦で

チャンピオンの寺戸選手が防衛しないと本当の喜びにならないから








言葉にならない 2

渡辺、優弥から引き継いだタスキ


このタスキの重みを寺戸君はどう感じたんだろう?


一年前、自分で発した一言で始まった広島大会

しかもメインイベントで世界タイトルマッチ


これから戦う試合は

世界タイトル戦の域を超え

仲間が必死に繋いでくれた

熱い想いが込められたタスキをゴールまで繋ぐ責任がある



試合前の練習も優弥の試合が直前な為

どうしても手薄になるし

一人になる時間も多い


仲間が一緒に雑談交えて汗を流せば

緊張もほぐれリラックスした状態でリングに上がれるだろう


しかし試合前の孤独の時間は

チャンピオンにどんなプレッシャーを与えるのだろう



優弥の勝利の喜びも束の間

決戦が近づいてきた

そして

いよいよ入場という時に

なんと優弥がやってきた

たった今試合が終わったばかりの優弥が、駆けつけた

そうこの試合は寺戸伸近だけの試合じゃないんだ


試合前の国家斉唱が終わり

フランスからの刺客との闘いが始まる

1ラウンド

フェイントをうまく使い、距離感に気を付けながら

右ローを中心にコンビネーションを決め

試合を優位に進める

しかしアレクサンダー・プリリップ選手の

あの妙な落ち着きと自信が不気味だった


2ラウンド

プリリップは1ラウンドはチャンピオンの動きを見ていたが、このラウンドは序盤から前に出てプレッシャーをかける

そして多少強引にも挑戦者プリリップは右ストレートを狙ってきた

そこにチャンピオンはプリリップの右ストレートに左フックを合わせようとするも

プリリップの右ストレートは予想以上に伸びてチャンピオンのあごを強烈にとらえてしまった

痛恨のダウン

ダメージはさほどでもないが、チャンピオンには明らかに驚きの表情が伺える


立ち上がるチャンピオンにプリリップはここは勝負所と倒しにかかる

凄まじい気迫のプリリップの連打がチャンピオンを襲う

距離を取ろうするもプリリップの前進は止められず

またも強烈な固い右ストレートでダウン

絶対絶命

必死に立ち上がるチャンピオンは完全に足にきている

まだ時間も1分以上残っている



ここまでなのか!



『まだ何も始まっていないだろ』

優弥に伝えた言葉は、、、


容赦無くプリリップの連打がチャンピオンを襲う

明らかにダメージが残っていて

体から力強さは感じられない

しかしそんな状態にもかかわらず

目は死んでいない

気持ちは絶対負けない!

殴られも殴られても不屈の精神で立ち向かう!

ふと一年前の防衛戦が蘇る

アンディハウソンとの防衛戦


1ラウンドで2回ダウンした寺戸君は

その後3回のダウンを奪い大逆転勝利した


あの時と同じ目をしてる

何が彼にそこまで闘う力を与えるのだろう!

絶対絶命の大ピンチも耐えて死に物狂いでチャンピオンはコーナーに戻ってきた

『まだ終わっていない』

目が叫んでいた!

まだ終わっていないんだ!


3ラウンド

多少ダメージが残っているが

チャンピオンはみんなの気持ちを込めて右ローキックをぶつける

プリリップもパンチを中心に破壊力のある攻撃を仕掛けるも

チャンピオンのローが気持ちでは上回る


どこにこんな力が残っているのだろう!

また奇跡を起こしてしまうのか!