佐武と市捕物控  (1968)


「行くぜ!市やん」
「あいよ、佐武やん」
罪は憎いが憎まぬ人を 
斬るも縛るも人のため 
闇を斬り裂く男意気
おぼろ月夜の佐武と市 
(OPナレーション:小林昭二)


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『佐武と市捕物控』は、大人向けのアニメとして放映されました。
ですから、本放送は午後9時からでした。
そのためか、強姦シーンなども当初はありました。


また、実写シーンを挿入したり、東映の監督松田定次を監修に迎えての本格的な時代劇でした。
しかし、半年後には、午後7時からの放送に変更されてしまいます。
やはり、視聴率という魔物のせいでしょうね。

簡単に言えば、『佐武と市捕物控』は、座頭市を思わせる松の市と下っ引きの若い佐武との友情の物語です。

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佐武(声:富山敬、井上真樹夫)

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松の市(大宮悌二)

二人の友情の強さを代表するのが、第7話「涙の逆手斬り」です。


長崎帰りの蘭学医師が、次々と斬り殺される事件が起きた。
市は、佐武の捕物のつながりから、北岡玄之丞という医者と知り合う。
彼は御典医の横井抱庵の弟子だが、出世もせずに貧乏な暮らしをしていた。
佐武は北岡に殺人の疑いをかけるが、市は北岡の人柄からそんなことはないと判断していた。

北岡が市の目を診察してみると、手術すれば見えるようになると告げるのだった。
自分の勉強のためにも手術を申し出る北岡。
突然の申し出に戸惑う市。
佐武は、ぜひ市の手術をしてほしいと頼みこむが、手術費用などは無い。
それを承知の上で、北岡は市の目の手術を引き受けてくれたのだった。
手術には設備が整った部屋が必要ということで、横井抱庵の屋敷で行われることになった。

しかし、殺人の手は北岡にも伸びてきた。
北岡の家の前で見張っていた佐武は、不覚にも刺客に襲われてしまう。
北岡も何とか刺客を倒していた。
手術を終えた市は、二人の危機に仕込杖を手に敵に斬りかかっていく。
しかし、包帯が気になって意識を集中できない市は、ついに包帯に手をかけた。
それを見て佐武は、
「いけねぇ市やん!今、目に光を当てたら、おめぇの目は一生…」
それを無視して、包帯をほどいて刺客を倒していく市。

犯人は横井抱庵だった。
次々に腕を上げ出世していく弟子たちに焦り妬んでのことだった。

「市やんのバカ!」
「そうかもしれねえな。でも、目が見えても佐武やんのいねぇ世界じゃあ・・・。」


佐武と市の熱い友情の物語、万々歳です!
もちろん、目頭も熱くなりました!