炎症マーカー値が改善したポンちゃん | しちふくのひとやすみ

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獣医師&獣医鍼灸師&レイキヒーラーである
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ポンちゃんはポメラニアンの女の子です。





保護犬のため年齢は分かりません。


保護された時にはフィラリアに感染してしまっていました。


そして、鼠径ヘルニアがありました。


鼠径ヘルニアというのは、足の付け根(鼠径部/そけいぶ)の腹膜に裂け目があり、そこからお腹の中のものが出てくる状態です。


お腹の中のものが出ると言っても、皮膚はきちんと閉じていますから、皮下に柔らかい「できもの」がある状態になります。


お腹から出てくるものが脂肪だけだと大きな問題はありませんが、腸が出てきてしまうと腸壊死を起こす危険性もあります。


治療は全身麻酔をかけて出ているものをお腹に戻し、腹膜の裂け目を縫い合わせる手術をするしかありません。


ポンちゃんの手術をしようと血液検査をしたところ、白血球数が高すぎたため手術は見送りになりました。


抗生物質を飲んで正常値に戻るのを待つことになりました。


ところが、白血球数が下がり始めたのに、炎症マーカー(CRP)値が上昇してしまいました。


1か月抗生物質を飲んだところ白血球数は下がってきましたが、炎症マーカー値がなかなか下がりませんでした。


データを示します。

白血球数の基準値は6000~17000、炎症マーカーの基準値は1以下です。


7月13日・・・白血球数 21400 (高すぎ)

炎症マーカー 0.1 (正常)


7月22日・・・白血球数 18600 (高すぎ)

炎症マーカー over (高すぎて測定できず)


8月 6日 ・・・白血球数 14700 (正常)

炎症マーカー 8.5 (高すぎ)


8月6日には白血球数が正常に戻りましたが、炎症マーカーがまだ高いです。


7月22日に高すぎて測定できなかったことを思えば、8月6日には測定できているので低下したと考えることもできますが、8.5というのはかなり高い数値です。


1か月も抗生物質を飲んでいるのに体内の炎症を抑えることができていない状態でしたメラメラ


そこで、8月6日からポンちゃんに鍼治療を行うことになりました。


鍼治療だけで漢方薬はお出ししていません。


免疫系を刺激するツボ消化器系を調整するツボのほかに、心臓にフィラリアがいるので心臓を調整するツボなどを使いました。


鍼治療開始後の血液検査結果:

8月22日・・・白血球数 11500(正常)

炎症マーカー 1.25 (正常よりやや高いが、あと少しで正常値)


炎症マーカーが1.25まで下がったので、この翌日に鼠径ヘルニアの手術が行われました。


上の写真は術後1か月のポンちゃんですラブラブ


お腹はすっかりきれいになりました。



鍼治療を始める時点で白血球数が正常値に戻り、炎症マーカーもまだ高かったとはいえ下がり始めていたので、鍼治療だけで炎症マーカー値が下がったと言い切れない部分もあります。


タイミング的に偶然だったのかもしれませんが、鍼治療を始めてから一気に炎症マーカー値が下がったので、鍼もある程度の効果を示したんじゃないかなぁと思っていますひらめき電球




ポンちゃんはフィラリアに感染していて心疾患があるため月1回の鍼治療を継続しています。


上の写真は鍼治療直後に撮影したものですが、舌がきれいなピンク色ですね。


この日の治療前には循環不全のため舌の色が薄紫色だったのです。


マッサージと鍼治療をしただけで、30分ほどで循環がよくなり舌がきれいなピンク色になりました音譜



このように鍼治療は内科的な問題にも効果が期待できます。


西洋医学的な治療で行き詰っている場合、試してみる価値があるかもしれません。