塩谷和夫の生活は、ますますパチンコに支配されていった。毎朝目を覚ますと、真っ先に「今日もパチンコに行こう」という考えが頭に浮かぶ。かつてのように、朝食を作ったり、新聞を読んだりする余裕はなく、ただひたすらパチンコ店へと向かう日々が続く。「俺はまだコントロールできている」と自分に言い聞かせるが、実際には和夫の生活は崩壊寸前だった。

 

生活費のやりくりもままならず、息子や孫との関係も疎遠になり、和夫は孤独感に苛まれる。しかし、そんな自分を認めたくない一心で、和夫はさらにパチンコに没頭するようになる。パチンコ店に通うことが、和夫にとっては日常であり、そこから抜け出す術を知らなかった。カウンセラーの木村との対話も続けていたが、和夫は「依存症かもしれない」と自覚しながらも、現実から目を背け続けた。