その後もカウンセラーの木村との対話が続き、和夫は自分がパチンコに依存していることを少しずつ認識した。しかし、依存症という言葉を口にするのは抵抗があった。「パチンコはただの趣味だ」と強がるように言い聞かせていたが、木村の優しい問いかけに、次第に自分の本当の気持ちを無視できなくなっていった。
「パチンコがあなたの生活を支配しているように見えますが、そう感じたことはありませんか」木村の静かな声が、和夫の心に響く。
しかし、和夫は「いや、俺はまだ大丈夫だ。やめようと思えばいつでもやめられる」と、半ば自分に言い聞かせるように答える。木村はただ静かに頷き、「そうですか。でも、月に一度は話に来てくださいね」と告げた。その言葉が和夫の胸に重くのしかかるが、彼はその重さを振り払うように、再びパチンコ店へと足を運んだ。