塩谷和夫はパチンコ店に入るといつもの台に座った。台の番号は777だった。和夫はこれを縁起のいい数字だと思っていた。1000円札を数枚入れて、玉を出した。玉を打ち出すと音と光に包まれた。和夫はこの刺激に酔っていた。玉が入るのを見つめながら心の中で祈った。「今日こそは、大当たりを引いて、いっかく千金を狙いたい。そうすれば、手土産を持って孫にも会えるかもしれない。妻の墓にも花を供えられるかもしれない」