ロードスターのプロペラシャフトは修理出来るんですか? その疑問・・(オリジナルパーツ化へその2) | 90年代国産車とロードスターとプロペラシャフトのブログ

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個人ガレーヂ「ガレーヂ27番地」のオーナーは、ユーノス&マツダロードスターとプロペラシャフト、90年代の国産車の維持管理を語るブログ。
NA8Cロードスターを約20年所有した間に学んだ事、オリジナル「リファイン」パーツの紹介等、ちょっと旧い車の維持管理がメインです。

前回はプロペラシャフトに興味を持ったキッカケを書きました。

 

どうも、新品を買う選択の他に「リビルト出来る手段」がありそうだ・・・と。

そこで見つけた会社が、今回オリジナル「リファイン・プロペラシャフト」に向けてご協力くださった

UK様です。

 

少し紹介しますと、元々はストレッチリムジンの製造等を行っていましたが、現在は差体改造におけるコンサルタントのような感じと思います。

その中で、例えばR3♯系のGT-Rのリアプロペラシャフトの設計・製造(一部テスト用をメーカー系に納入)・販売(オリジナル販売品には構造変更に必要な強度検討書も含みます)、トヨタ2000GT、ホイールローダー等のプロペラシャフトの修理等、幅広くプロペラシャフトに関わっています。

考えてみれば、ストレッチリムジンではホイールベース変更によるプロペラシャフトの延長加工等が必要になるので、車体の構造も含めてプロペラシャフトへの見識も豊富と考えて良いと考えました。

また、車体応力測定試験も可能な会社ですので、技術力は申し分無いです。

言ってみればある意味メーカーと思っても良いでしょう。

 

そういった所に、いち個人が「ロードスターのプロペラシャフトをリビルトしたいのでうすが、どうでしょうか?」と言っていいのか?と思いましたが、断られるのはまあ当然という前提でメールしてみました。

最初の回答は要約すると以下の通りです。

 

(メリット)

・回転バランス修正加工を行う事で、純正の大量生産型シャフトより振動低減を追い込める。

・レベルの高い振動・騒音の低減を求められる方にはメリットを感じてもらえるかもしれない。

(デメリット)

・純正品が入手出来る状況であれば、それよりも高価になる可能性がある。
・既に廃盤になっているAE86等のような車では当社でも作業実績が複数台ある。

(将来的に)

・経年劣化が進む車両が増えてきて、黄金期の車を大事にしたい少数の方向けとしてリビルドの技術は重要になっていくかもしれない。

 

うんうんと考えました。
新品のNA8C(MT&AT)NB8C(MT)用(MF04-25-100A)は(今日2021.2.28日時点の)モノタロウ税込み価格で72.765円。

作業をしてもらって幾らぐらいになるのか?

と、いう質問に

「実は以前NA8C型はじめ、マツダの名車といわれるFC3S,FD3Sなどもだいぶ年数がたっていることからリビルドの模索をした事があり、・・NA8Cは、たまたま在庫していたスパイダーの径がぴったり合ったので、スパイダー交換と回転バランス作業ができた記憶があります。」

との事。

「お送りいただければスパイダーの径など計測して模索してみることはできると思います。
スパイダーの径がぴったりのものがあることが前提ですが、スパイダーの固定方法はカシメではなく当方で考えて数百本のリビルド作業をして今のところ問題起きていないオリジナルの固定方法になることをご承知願います。」

との前向きな返答を得ました。

 

ならば、送るのが一番です。

ちょうどタイミング良くツイッターのフォロワーさんが、「20万キロで交換したNA8C・シリーズ1.5のプロペラシャフト、誰か欲しいですか?」というのでそれを頂き、NA6CEと中古価格は高かったのですが思い切って希少な(350台と思います)NB8Cターボ用プロペラシャフトもオークションで手に入れ、ひとまず計測用に発送したのでした。

さほど期間を置かずにUK様より返信があり、全て計測終了して作業が可能との事でしたので作業を依頼しました。

 

地味な作業ですが、キッチリとした精度が出せないといけない部分です。

プロペラシャフトは駆動を伝える単なる棒・・・そんなイメージが強いと思いますがどうでしょうか?

重要保安部品です・・・例えば、自分も過去にNA6CEで行ったATからMTへの構造変更申請でも、プロペラシャフト関連の記載と装着画像の添付を陸運支局から求められています。

そして、案外高速で回っています。
大半のFRのトランスミッションは4速のエンジン回転数=エンジン回転数です(ギア比1.000)。
ロードスターでは185/60R14のタイヤでファイナル4.300(NA6CE&NA8Cシリーズ2)だと、時速100kmで約4000回転で、エンジン回転数が下がる5速でも同じく時速100kmであればプロペラシャフトの回転数は同じです。

全長約1Mの一本物のシャフトが自分の下で回ってるのです・・・それは精度が有る程度高くないと振動は醜いというよりも危険になって来ます。
単に新品のズパイダーを用いて交換すれば良いという物ではなく、交換時に回転中心を合わせて固定する技術が要ります。
また、専用でジグを製作して回転バランスを追い込む作業が付随します。

ここで純正以上のバランシングを行う事で、振動と騒音低減という付加価値を与えています。

 

そして、作業を終えた製品が届いて装着となります。

 

続きます。