あやかし緋扇207 | ノベロな☆出来事&小説日記♪

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―未来―
陵はあたしが寝てから寝るだろうと思い、あたしは寝たふりをした。
寝たふりは、得意な方だ。
「未来さん?」
「・・・・・」
思わず返事しそうになっちゃったよ・・・!
危ない危ない!
床がキシッとなった。
陵の気配が近づいてくるのがわかる。
寝たふり~っと!
「就寝したようですね・・・」
温かい声・・・。
子守唄みたいだなぁ・・・。と思った。
だって、その声だけで安心して本当に眠れそうな気がするんだから。
「・・・未来さん」
さっきのような、聞くふうではなくて・・・。
なんだか、愛おしむように優しくて・・・好きだって言われて る気持ちになる。
―――なんでそんな声で、あたしの名前を呼んでくれるの?
胸がきゅうっと、縮まるよう・・・。
きっと、そう聞いたら陵はポカンと間抜け面をするだろうな・・・。
だって、当たり前のことだと思っていてくれてるんだから・・・。
あぁ・・・心がポカポカ温かくなってくる。
『当たり前』の存在になれて、とても嬉しい・・・。
「良い夢を・・・」
そう言い終えると同時に、頬にキスが落とされた。
陵の唇の感触が、生々しく感じる・・・。
顔が離れて、またキシッと音がした。
あ、行っちゃう・・・。とがっかりした。
だけど、そう思っただけだと思ったんだけど・・・。
「・・・え? 」
陵の驚いた声が、耳に入ってきた。
手には、温かくて柔らかい感触・・・。
それが陵の手だと気づくのに、そう時間はかからなかった。
え・・・えーい!握ったもんは仕方ない!
絶対、離さないんだからね・・・!
あれ?手が汗ばんできた・・・?
あたしの・・・だけじゃない。
もしかして・・・――陵も?
気づかれないように、薄目を開ける。
陵の顔は丁度月に照らされていて、なんとか見えた。
赤くなって、どうしようと混乱している・・・。
可愛い・・・///
笑いそうになるのをこらえて、あたしは目を閉じる。
これ以上見てたら、我慢できなくなっちゃう・・・。
しばらくして、陵はベ ットに寄っかかるように座った。
近いのが、なんだか恥ずかしい・・・/////
「小悪魔ですか・・・あなたは///」
陵からそんな言葉が出たのがちょっと信じられなくて、声をだしそうになる。
こ、小悪魔・・・って、絶対ちがうし!
もう・・・陵ってば・・・///
すごく、愛しいじゃんか・・・。

手を握ったまま、あたしと陵は夢の中に堕ちる―――・・・。


目を少し開けると同時に、声を出す。
「・・・・・・りょ・・う」
「はい、なんですか?」
「・・・・・は?」
・・・はい、だと?
思わず目を見開き、叫びそうになる。
「りょ・・・!!」
「だ、駄目ですよ 、未来さん!しーっです!」
陵の人差し指が、あたしの唇に当たる。
「~~~///////!!!」
目の前には、制服姿の陵がいた。
とはいっても、それは下だけ。
上は、着替え中のようにボタンが途中までしか進んでない。
さ、鎖骨思いっきり見えてるんだけど~・・・///!
引き締まった肩が、とてもかっこいい・・・
なんて思っちゃうあたし、変態じゃん!!
「あ、先に起きて着替えてたんです」
「う、うん・・・てかさ!早くボタン閉めなよ!」
なんかエロいんだよ、なんか///!
陵はなんでかわからないような顔をして、ボタンを閉めた。
第一ボタンのみ開けて、とりあえず終了したみたい。
「未来ー? ご飯よー」
お母さんの声が聞こえた。
いい匂いが漂ってくる。
だけどあたしは、いい!と答えた。
「あ、今日いいや!早く出なきゃだから!」
「そうなの!?昨日のうちに言っといてよねー!もう!」
「ごめんー!」
なんとかごまかせたー!
「僕のことはいいんですよ?」
「いいのいいの!あ、顔洗ってくるね」
あたしはパタパタと洗面所に向かう。
扉を開けて、一番見たくない顔が目に入った。
うげっ・・・!
「おっ。よぉ」
「・・・おはよ」
心の中で舌打ちをして、思いきり睨みつけた。
「そんな怖い顔すんなよなー」
「・・・寝起き悪いだけだから」
なんだこいつ !!
なんでこんな普通なんだ!?
昨日自分が何したか覚えてないのか!?
蹴り入れて、二度と立ち上がれないようにしたいけど・・・。
家だから、無理だ。
入れ違いに、あたしは中にはいる。
パパっと顔を洗って歯を磨いた。
外に出ると、和哉が待っていたように立っていた。
本当になんなんだよ~・・・!
気づいてないように、あたしは前を通り過ぎる。
だけど、前を通った瞬間手を掴まれた。
「は・・・なせっ!」
ついいつもの調子で蹴りを入れる。
そこでひるんだすきに、あたしは自分の部屋へ駆けた。
「未来さん!?何があったんで・・・」
「しーっ!手ぇ掴まれただけだから!」
部屋に入ると、心配そうに陵が駆けつけてきた。
一気に安心する。

あたしは、さっさと制服に着替えて家をでる。
陵は窓から、風の神様に力を借りて先にでた。


居てくれて・・・よかった・・・。
陵の存在に、改めて感謝した。




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