9月24日は父の命日
今年も 明け方亡くなった時間に
想いを馳せた

その時間 外に出て
月を見上げ

ああ、この前満月だったのに
もう、こんなに欠けているなぁ

月明かりが雲の周りを虹色にして
キレイだなぁと 思っていたら
ほどなくして、雲に月が隠れた

天に雲が広がるのを見渡して

雲の形がお父さんに見えたり
風に乗って、声が聞こえたりしないかなぁ
なんて、思って探したけど

そんな事は起こらなかった

亡くなって36年

あの頃はビデオもなくて
父の動く姿も声も残っていない

声を思い出そうとするけれど
もう定かではない

ただ思い出は
次から次へと浮かんでくる

頭のいい人だった
字がとても上手だった
しょっちゅうお土産を買って帰ってくれたね
みたらし団子、蓬莱の豚まん
ヒロタのシュークリームが定番

新聞社勤務だったから、夜勤もあり
代わりに平日も家にいる事があり

母が、お父さんは夜勤だから
昼は寝なきゃいけないから
起こしたらダメよ

そう言われてたけど、
お昼に遊んだ記憶がいっぱいある

私は父ととても気が合った

すごく尊敬していた

理屈っぽい論理派の
私と父、思いをぶつけたら
向き合ってくれるところが
好きだった

いつも信じてくれた

だけど、いつしか
信じてくれることが
心苦しくなる

いっぱい嘘もついてたから

毎日お見舞いに行ったけど
2人の時間、時間持て余してしまい
早く帰りたくて、
勉強するだの、ご飯つくるだの
適当なことを言って
この時間のバスで帰るって
嘘ついて、
ショッピングモールでうろうろしていた

お母さんから
お父さんは病院の窓から
節子はこのバスで帰ってるのかなぁと

私が乗っていないバスをいつも
見ていたと聞き

後から泣いた 

後悔したけど時は戻らない

ホンットに愛情を注いでもらったのに
たっくさん、裏切ってごめんなさい

ごめんなさいのエピソードは山盛りだ

父の闘病は
39歳から45歳
私は
13歳から19歳

普通に反抗期を過ごしてしまった事が
悔やまれる
亡くなると、全く思っていなかった

いつもあと2年、とか、あと数ヶ月と
余命宣告されても、その日を超えて
生きてくれていたから
どんどん弱っていく父を見ても
明日は来ると思い込んでいた

なんて時間の使い方をしてしまったのか
どんなに嘆いても時は戻らない

父は、優しかった

父が病気になり
母が節約意識が強くなって

高校生の時
私はコートが欲しかったけど、言えなくて

ある時
お母さんに内緒やで
お父さんへそくりこんなにあるんやって
12万円、
お札を扇子のようにひろげて

そのうち2万円
私にくれて
コート買っておいで、って
言ってくれたね

私は嬉しくて
難波のアメリカ村ってところに行き
メンズのダボダボのトレンチコート
裾を引きずりそうなサイズ違いの
今思えばおかしなコートを
店員さんに勧められて買って帰ったら

目が点になりつつも

節子がそれで、よかったら、、、と
かなり、がっかり感が伝わってきたけど

節子がよかったら

そう、言ってくれる人だった

私とお酒飲むの 楽しみにしていたね

19歳の時、亡くなってしまったから
その夢は叶わなかったけど

お父さん

私は
ビールもワインも日本酒も焼酎も
泡盛もウイスキーもカクテルも
なんでも呑める娘になったよ

お父さんは
けっこうロクでもない私だったのに

『節子は心の優しいいい子だよ』

いつもそう言ってくれた

1番思い出す父の言葉

だから 私は

優しい人でありたいと。
常にそれだけは心がけているよ

そして
お母さんを頼むと
いつも、お母さんを心配していた
仲のいい2人だったね

お父さん
体はなくなったけど

お母さんも
私も、妹も
この日を忘れないし

お父さんの思い出を
こうやって 語るよ

育ててくれて
愛してくれて
遊んでくれて
叱ってくれて
学校に行かせてくれて

懸命に生きてくれてありがとう

病気の体でも満員電車で通勤して
夜勤もある仕事して
でも、病気のために思いっきり
働けなくなっていって
悔しい思いも、苦しい思いも
たくさんしただろうね

中学2年の私
小学2年の妹

36歳の母

そんな時に がん宣告なんて
相当、悩んだことと思う

手帳に書かれていた
亡くなったらもらえる保険金のこと

なぜ、僕なんだと書いていた
悲痛な叫び

お父さんの文字が
目に焼きついているよ

死ぬことを考えなくてはいけない状況
若すぎるのにひどい試練
神様は不公平だよね

闘病生活
抗がん剤
辛かったね

その上
病気がちな妻と
2人の子供の未来
さぞ、案じたことと思うけど

生きたかったし
生きて欲しかったけど

その後、どうなったかは
知っているよね

みんな、色々あったけど
みんな、幸せ

見守ってくれて
感謝しています

この前
お母さんの誕生日
実家に帰ったら

お父さんが着てた浴衣
いつまでも置いといても、と
思って、ふきんにしたと

見覚えのある柄に
ぶわぁーと思いが溢れて

お母さん、これ、ちょうだいって
もらって帰ってきた

手にした時
思わず、匂いをかいだ

当たり前だけど
父を思いだす匂いは
かけらも残っていなかった

どんどん
記憶は薄れていく
でも、忘れたくない

ねぇ、お父さん
こんな事書いていたら
やっぱり 泣いちゃうね

今日の涙は
この布に受け止めてもらおう