「コーヒーは雨の降る午後によく似合う」 team0214 4th conte live より

照明:明転


喫茶店のテーブルで、ひとりしゃべる彼。テーブルにはコーヒー。


彼:ずっとお前のこと•••。
  •••好きだった。
  •••ずっと。
  大好きだった。


傘を閉じ、喫茶店に入ってくる彼女。
テーブルで待っていた彼。背筋を正す。


彼女:ハロー。


彼:ハ、ハロー。


彼女:あ、アメリカ人だ!って思った?


彼:思わねーよ。


彼女:じゃあ、オーストラリア人だと思った?千葉出身の。


彼:よくわかんねーよ。思わないって。


彼女:なんだ。つまんない。
   やっぱ英会話やっとけばよかった!とか思っちゃうかなーと思って。


彼女:なんで幼なじみが突然、外国人になるんだよ。


彼女:そうだよね。訳わかんないよね。ごめん。どうかしてる、わたし。
   だって、突然、てるが話があるって言うから。
   ちょっと動揺しちゃって
   むしろ動揺させたくなっちゃったの。わたしすごいエスなのかも。
   ごめんね。てるてる。

彼:やめろよ。その呼び方。てるてるなんて呼ぶなよ。
  てるでいいよ。


彼女:そう?てるてる。


彼:てるだってば。ちゃんと名前で呼べよ。


彼女:わたしはりんりん。


彼:お前、名前、みちこじゃないか。どっからりんりんが出てきたんだよ。


彼女:そっか。でも、おばさんから聞いて。おめでとう。


彼:聞いてたんだ。ぼくから言おうと思ってたのに。


彼女:しょうがないよ。もう既に街中の噂だもん。


彼:くじ運がよかっただけだよ。


彼女:そんなことないよ。ずっと勉強がんばってきたじゃん。


彼:そうでもないよ。


彼女:そうだね。そうでもないよね。


彼:・・・結構、勉強したよ。


彼女:勉強してたかしてなかったかは、どーでもいいけど。


彼:どうでもいいんだ。


彼女:ずっとなにか打ち込めるものを探していたもんね。


彼:まあ、ずっとニートだったからね。


彼女:俺はまだ、本気だしていないだけ。とかなんとか、自分にしか出来ない

   仕事がしたいとかなんとか。
   典型的な負け犬的発言をしてたのにね。


彼:ちょっと棘があるね。その言い方。


彼女:でも、この街から初めてのてるてるでしょ。


彼:でも、そうだね。たしかにそんなになれるもんでもないね。


彼女:てるはずっと世の中のために働きたいって言ってたもんね。


彼:うん。普通の仕事してても、むなしいだけだと思っていたんだ。
  でも、今、こうやって、てるてるになれることが決まって初めて思ったんだ。


彼女:なに?



彼:本当にぼくがなりたかったものは、てるてるじゃなくて、お前の彼氏だ。


彼女:•••。


彼:てるてるになるよりも、お前の彼氏に本当はなりたかった。
  今、ようやく分かったんだ。


彼女:お前って呼ぶな!!


彼:え、ご、ごめん。


彼女:だめだよ。そんなの。もう、決まったことなんだから。


彼:•••。


彼女:ようやくつかんだチャンスじゃない。
   はっきり言って、てるの枝豆的な顔も好みじゃないし。


彼:枝豆的な顔って。
  

彼女:だって、せっかく夢のてるてるになれるんでしょ。


彼:もう、来週から修行に入るんだ。決まってるんだ。
  だから、会えるのは今日最後になると思う。どうしても気持ちを伝えておきたかったから。


彼女:ありがとう。気持ちはうれしかった。ちょっと気持ちわるかったけど。 
   目の必死さが。


彼:ストレートすぎるよ。


彼女:おつとめがんばってね。


彼:うん。わかった。ごめん。変なこと言って。
  もう決まったことだからね。


彼女:雨、やむといいね。


彼:うん。


彼女:もう、半年も雨、止んでないんだもんね。


彼:まかせておけよ。


彼女:がんばって、てるてる。


彼:最後はてるって呼んでくれよ。


彼女:がんばってね。てる。


彼:うん。最後に気持ち、伝えられてよかった。


席を立つ彼。


照明:暗転

音響:「てるてる坊主の歌」 


舞台のうえから、首吊りのロープがゆっくり降りてくる。


照明:ロープにスポットをあてる。 「てるてる坊主の歌」が終わって3秒したら暗転