私が先頭にたっておそるおそるおじさんのいるリビングへ行く
ドアを開けた瞬間
ガンッと音がして何かに引っかかった
ストーブやら空気清浄機やらをドアの前に置いておじさんなりの（？）バリケードを作っているらしい
隙間から
「おじさーん」
と呼びかけてみたら
「なに？！」
というびっくりしたような反応があった
「お医者さんきたから健康診断してもらおうよー」
「ダメだ！いらない！帰ってくれ！」
と、おじさんがら言い終わらないくらいのタイミングでお父さんがドアに体当たりしてドアを突破した。。！
マジでお父さんＧＪ！
と思えたのは後からで、その時はバリケードをブチ破る大きな音と、
「いいから来い！」
と、あまり怒鳴らないお父さんの大声を聞いてビックリして震えてしまっていた
おじさんにとってお父さんは結構逆らえないお兄ちゃんって関係だから、
弱々しい声で
「お兄ちゃんこんな事やめてくれよーぅ」
と言ってるおじさんが少し可哀想にみえてきた
その後に続いてお医者さんが入ってくる
「具合はどうですか？」
「何でもないですよ。だから帰って下さい」
「何か食べてますか？」
「食べてます。今も食べてますよ。お湯ですけどね。
ね？私おかしくないでしょ？健康ですよ。
お腹は電波が当たるのでアレですけどね。
でも新聞を引いてるので大丈夫です。
帰って下さい！！！」
不思議な話をしてたかと思えば急に声を荒げて帰れと言ってくる。
本当に少し前のおじさんでは考えられない事。
本当に穏やかな人だったのに。。
私は心の中でどうせならもっとおかしい事いっぱい言ってお医者さんに病気だと判断してもらえー
とか思ってた。
そうすれば薬を出して貰えて良くなるのにとか
結構簡単に改善されるものと思ってた。
おじさんの様子が穏やかではなくなったので、リビングを出て元いた客間へと戻ろうと廊下をみんなで歩いていく
改めてお医者さんとお話しする。
やはり統合失調症と思われる症状が強いのと、本人が病気を認めてないのでこの先訪問診療での対応は難しく、入院させる方向で進めていくこと
など今後の対応を話合っていたところ、、、
「まだいたのかー！帰れー！ここは私の家だー！！」
おじさんが乗り込んできた。。
客間の奥には仏壇があるのだけど、
「仏壇を拝むなら早く拝みなさい！
いいから早く拝みなさい！！」
とかも言い出してお医者さんに怒鳴りつける。
お父さんがなだめるも、興奮してきたおじさんの怒鳴り声は止まらない。
「拝め！拝め！拝め！」
これ以上話をするのは無理だと判断してとりあえず今回の往診は終了した。
お医者さんが帰った後も、
「本当に帰ったのか！？まだ外にいるぞ！」
と、おじさんは興奮状態。
今日の応診をキッカケに事態が好転していけば良いなと心から思いました。
でも、病気によってあまりにもおじさんの人格が変わってしまっている事が悲しくてしょうがない。
きっと薬を飲めば治るよね？と信じたかったのです。