コバやんの祇園祭レポート&雑記帳

コバやんの祇園祭レポート&雑記帳

京都・祇園祭の山鉾町で生まれ育ったおっさんのブログです。

私の拙いブログにコメントでご質問がありました。

7月5日の日付でしたが、祇園祭の渦中の時期でもあり

なかなかお答えを書く時間ができず、今になってしまいました。

ご質問者様には遅れたこと、誠に申し訳ございませんでした。

ご質問への返答を最優先にするため、10日の「鉾建て」以降の記事は

本ブログに上げる間が取れませんでした。

簡単な形ですがFacebookには少し上げておりますので

Facebookをなさっている方は「#こばやん717」を添えておりますので

そちらをご覧ください。

 

では、質問者様からのご質問に、コメントでお返しするには長くなりますので、

簡単ではございますが、こばやんのプロフィールも兼ねて、お答えさせていただきます。

 

 

1 コバやんにとって祇園祭はどんなお祭りですか?

 生活に組み込まれています。毎月朔日に八坂神社へお参りして、

元日の初詣からは3月の郭巨山保存会(協賛会)の総会の準備が始まり、

4月から大きな事はその事業計画に沿って、小さな事(手拭など消耗品の発注など)は

例年に沿って実行に移していきます。6月から7月はそれの集大成。

これは、どの山鉾の役員なら皆さん同様かと思います。

 私は、生まれ育った家の前に郭巨山が建つ、という宿命ともいえる場所で生活しているので、

これも運命だと思っています。

 1年52週あるなかで八坂の大神様が氏子町内に出てこられる1週間に生まれたのも運命、

胎教も子守唄も祇園囃子というのも運命です。

 

2 山鉾はどのくらい重いですか?

 平成20年(2008)の巡行で当時の山箱の重量が測定されました。

 巡行中なので鉾には囃子・屋根方が、蟷螂山には山本体の中に“からくり師”が乗っている状態での重さになりますが。

 

3 祇園祭に携わるようになったきっかけはありますか?

 山鉾町の子供は物心つくころから宵山で「ちまき、どうですかー」の声を張り上げます。

これが最初の関わりで、中学生から成年までは「祇園祭を楽しむ」方に移り、

成年してからは山鉾建て、宵山の会所当番、巡行の飾り付けなどに携わるようになります。

 

4  いつから祇園祭に携わっていますか?

 昭和38年(1963)小学3年生から函谷鉾の囃子方に入会させていただいたのが

「携わる」が始まったといえるでしょう。社会人になってから郭巨山のほうも親父世代の

お手伝いに関わるようになりました。親父が亡くなると「家の長」として役員に名を連ねるようになります。

 郭巨山では「役員定年80歳」の規定があり、それに合わせて祭事のノウハウを順次受け渡していくようにしています。

 

5 祇園祭の形態は変わると思いますか?変わるとしたらどのように変わると思いますか?

 大きな形態は変わらないでしょう。それを担う小さな形態(山鉾内の組織・構成員)は社会情勢によって変わっていくかもしれませんが。

 

6  祇園祭に行くべき日時はいつですか?

 祇園祭は八坂神社の神事(御神輿関係・疫神社夏越祭など)や奉納芸能(献茶祭、能、お迎え提灯、

お祝い提灯ほか)と、山鉾行事など行事は多岐に及びます。

 まずは一般的な山鉾行事、7月10日~13日の前祭山鉾建て、14日~16日の前祭宵山、

17日の前祭巡行、18日~20日の後祭山鉾建て、21日~23日の後祭宵山、

24日の後祭巡行を手始めに他の行事に目を向けられると良いかと思います。

 御神輿は全国的にも巨大なもので「なりかん」というカシャンカシャンという音がするのも

珍しいと聞いています。

 

7  祇園祭の醍醐味は何ですか?

  見る(何百年も受け継がれてた山鉾、懸装品、動くさま、囃子方・音頭取り・車方・屋根方の衣裳、

くじ改めの所作、辻回しなどの作業、山鉾建てと解体作業など)、聞く(祇園囃子・ちまき授与の声など)、

 匂う(夜店・会所からの仄かな桧と防虫剤の匂いなど)、

 味わう(夜店・鱧のおとし・祇園祭限定和菓子など)、

 着る(浴衣)、買う(チマキ手拭など縁起物・夜店・呉服店などの店頭ワゴンなど)、

 気候(暑さ・夕立)、

 触れる(触れることはできないないけれど、山鉾町に係れば懸装品などを飾られる)、

 見る、については懸装品の織物(平面的)・錺り金具(立体的)の意匠(植物・動物・鳥・昆虫・魚介類・獅子麒麟など架空動物、中でも龍はほとんどの山鉾に存在)、作家、それを作る技法など多くの「見どころ」があります。

 

8  祇園祭が京都に与える影響はどのようなものだと思いますか?

 日本の三大祭の中でも規模の上から特別なお祭。携わる者は言うまでもなく、そうでない方にも、

若い頃は宵山を誰と歩くか、家庭を持つと子供を連れて行く、ということを経験される方も多いでしょう。

人込みが苦手という方も一度は見物に来られた経験があると思います。

 地元の中学では「浴衣登校の日」があります。お祭はハレの日。親戚を招いたり、

山鉾見物に出かけると何かしら買って帰られると思います。もちろん遠方からは宿泊日程。

経済効果はいかほどになるかわかりませんが消費額は大きいでしょう。

 いつでもある神社仏閣に対する非日常の極みともいえる祇園祭は京都の夏が始まる、

大きな影響を持っていると思います。

 

9  祇園祭で外国人が増えていることについてどう思いますか?

 祇園祭に合わせて来ておられるのか、来たらたまたま祇園祭だったのか、わかりませんが、

京都の「人の文化」「カーニバルではなく神事」を理解してもらえればいいな、と思います。

 

10  祇園祭の問題点はありますか?

 山鉾運営・維持の担い手に尽きると思います。伝統的に担ってきた町衆が減り、

大きな室町呉服問屋の跡地にマンションやホテルが建ちます。代々受け継ぐ文化が廃れ、

新しい住民に「神事」を理解して頂くのが難しくなってきました。

現に我が町内でもマンションが2棟あり、先に建ったほうは保存会に入会して頂きましたが、

後のほうは保存会に入会する協定書を結んで建築したのに、築7年経っても「入会する義務はない」としてご協力を得られないままです。

また、飲食店などは祭事中は繁忙となりご協力を得られないこともあり(もちろんご理解ご協力のお店もあります)、その分、保存会員の作業(山建て、神前当番・巡行・後片付け)の比重が増していくのです。

それにも限界があり、ビル化の進む四条通・烏丸通の山鉾町、特に人気のある鉾町はともかく山町は祭事に係る人材確保が難しくなりつつあります。すなわち先人から脈々と受け継いできた文化(物・心)の継続が問題点かと思います

 

取り急ぎ書かせていただきましたが、真意をお伝えする文章になったか心配です。