和までの道のりは僅か15分程度
少し遠回りだが京町と魚町のアーケードを抜け紺屋町へ向かうつもりだが
魚町の地下に在る天婦羅定食屋の前を通るときに声を掛けられた
「こんばんわ、麻雀ですか」
声を掛けてきたのは浦島太郎と名乗ったサラリーマン風の若者だった
「ああ…和に行ってみるつもりだが」
「そうですか、良かったら一杯付き合わないですか」
「ああ…いいよ」
浦島は俺をグラスハートと言うスナックに連れて行かれた
「いらっしゃいませ…涼ちゃん珍しいわね、友達を連れてくるなんて」
「ああ…いまそこで会ってね麻雀の強敵なんだ」
「あら、強敵はカズさんだけだと思ってたけど、お兄さんもお強いんだ」
馴染みの店と見えて親しげにママと思われる女が話し掛けてくる
「ママ、チョット話がしたいんだ…テーブルいいかな」
「いいわよ」
浦島は俺を奥のテーブル席に座らせる
「で、なんだい」
「えっ」
「話があるから連れてきたんだろ」
「そうですね、率直に話した方がいいですかねトムさんには」
「俺に木村一也の代わりは務まらないぜ」
「へぇ…何故分かったんです」
「お前が木村一也を殺ったのか」
「えっ僕がですか、何故そう思うんですか」