◆今週の重賞展望~有馬記念~
<有馬記念の直前総括>
2011年中央競馬総決算! ~有終の美か? 下克上か?
中央競馬における年度末最後の華。つわものどもの晴れ舞台。それがグランプリ有馬記念である。
有馬記念創設は1956年。12月23日に第1回競走が施行され、今年で第56回を迎える。コースは中山競馬場芝2500m。負担重量は定量で、3歳55kg、4歳以上57kg、牝馬2kg減となっている。
本年の有馬記念では、現役最強のジャパンC覇者ブエナビスタ、日本馬初のドバイWC制覇を成し遂げたヴィクトワールピサが揃ってラストラン。有終の美を飾るべく、両陣営ともに意欲的な中間の攻めを披露している。
しかし、大団円のドラマを覆すべく牙を研ぐ、伏兵陣も実に多彩。今年の3歳クラシック三冠馬オルフェーヴルや、天皇賞惨敗のリベンジを狙うアーネストリー。完全本格化の秋天覇者トーセンジョーダンなど、そうそうたる顔ぶれである。
世相としても大波乱となった2011年の日本。中央競馬の総括となるグランプリでも波乱が起きるのか。あるいは最強実績馬達のドラマ終焉が美しい幕引きとなるのか?
興味津々。
今年の有馬記念は、生半可な予想では当たらないぞ!
①1番人気は強い ~が、2ケタ人気馬の食い込みは茶飯事だ!
有馬記念はさすがに年度代表馬の候補が揃うような超一流の舞台だけに、1番人気馬の好走確率が高い。過去10年間成績は(4、3、0、3)と、勝利馬頭数で最多の4頭。連対および複勝率でも70%の数字が残る。
2番人気は(3、0、0、7)と、勝つか圏外かの極端な数字。とはいえ勝利馬頭数では1番人気に次ぐ3頭輩出。過去10年間で1~2番人気が7勝を稼いでいる訳で、人気上位2頭の勝利する確率が極めて高い。
他の人気で勝利馬を輩出しているのは、3番人気1勝、4番人気1勝。残る1勝は9番人気で、これが2007年のマツリダゴッホである。
このように、比較的人気上位2頭の勝つ可能性がデータ的に高い有馬記念。その意味では1~2番人気いずれかからの流し、もしくはフォーメーションによる馬券購入が最も的中可能性が高いと思われるが——しかし問題はヒモである。
過去10年間においては、とくに近3年に顕著な傾向であるのだが、2ケタ人気馬の馬券圏内好走。これが目立つようになってきている点が不気味である。
2ケタ人気馬の馬券圏内は、過去10年間で6頭。1~3着馬全頭数30頭中の6頭で、比率にすれば20%にすぎない。とはいえ、これを過去3年に置き換えれば9頭中4頭。44.4%の比率となり異様なほど急上昇していることが分かる。
有馬記念は近年になればなるほどヒモ荒れの傾向。そのように変貌していることを、念頭に置いて予想するべきだろう。
②イン有利で後方一気はほぼ望めず ~内の先行馬に狙いを定めよ!
舞台は中山芝2500m。最後の直線は293mで、主要4競馬場(いわゆる中央場所)では最も短い。また、コーナーを道中6つも回る小回りコースで起伏に富み、最後には高低差2m以上の急坂。非常にタフでトリッキー。それが同コースに対する印象で、それだけに馬の競馬センスと鞍上の手腕が求められる。予想するにあたって、非常に難しいコースである。
ペースとしては、長丁場で体力を要するコース形態であるためスローに流れる。隊列はまとまり淡々と流れるが、3コーナー付近からマクリに出る馬が多くなって出入りが激化。4コーナーに差しかかる頃にはほぼ馬群が一団となる。この際にどの位置取りであるかが勝負の明暗を分け、後方待機型でも出来るだけ先行集団に取りついておくことが望ましい。
一気の追い込みは、直線が短いせいか殆ど決まらない。コーナーが多いため外につけた馬は外々を回らされることになり、いかに距離損を防ぐかが鞍上の主要命題となる。
脚質的には、先行抜け出しタイプに最も有利。逃げ切りは少ないが、内ラチ沿いをピッタリと走った馬が2~3着に粘り込むケースは頻繁にある。前々で競馬できるタイプと中団差し、あるいはマクリ上手で器用な馬。そういった馬から入るのが望ましいコースである。
また、内枠に逃げ先行脚質や有力馬が入った場合にはとくに重視したい。過去10年データでも、最も勝率および連対確率の高い馬番が1枠1番となっている。
東西厩舎別の成績では、勝率および連対率、3着内率のすべてで美浦勢が優位。地の利を活かした結果となっている。
性齢別では牡馬優位も、G1級牝馬は侮れず。勝利数第1位は4歳の6勝。ダントツの勝率を誇る。続いて3歳勢が3勝。連対率でもこの順位。注意すべきは7歳以上の高齢馬で、意外に3着内への好走が多い。5歳馬も過去10年では、3着への食い込みが多くなっている。
前走傾向では、G1経由組のほぼ独壇場。ジャパンC組が6勝、秋天組が3勝をあげる。菊花賞組の健闘も目立ち、その他重賞からの参戦組は2~3着が精一杯の状況で好走頭数も少ない。やはりグランプリだけあって格重視の競走であるようだ。
③成長著しい伏兵馬がグランプリ席巻? ~ブエナ、ピサに勝機はあるか
注目馬一覧
アーネストリー
上半期グランプリの宝塚記念を制した同馬も、秋の天皇賞では13着の惨敗。府中2000mの大外18番枠に入ったことと、やや立ち遅れて無理に押し上げていった競馬が招いた大敗であった。
力量的には上位であり、前走の負けは度外視してもいい。中山は東京に比べれば得意なコースで、オールカマーで勝利。先行してしぶといタイプでもあり、施行コースにおける好走条件とも合致する。内枠に入ればリベンジの一発も。
エイシンフラッシュ
層の扱い4歳世代のダービー馬も、近2走は冴えず。とはいえ、レコード決着となった秋天は先行競馬に出て激流の中に沈んだが直線半ばまで粘る。さすがの力を披露した。
昨年の有馬記念は中団後方から追い込んで7着。勝ち馬とはコンマ4秒差で、上がり3ハロンは第2位の34秒2。本来自在性のあるタイプだけに、もう少し前で競馬できれば不気味な存在。地力の面で侮れず、連下には入れたいところだ。
オルフェーヴル
本年の中央競馬は、この馬なしには語れない。ご存知クラシック三冠馬である。
春先まではせいぜい次点候補の扱いであったが、成長急。スプリングS勝利から菊花賞まで、怒濤の5連勝を飾っている。中団後方から繰り出す末脚は破壊力があり、菊花賞でみせたようにマクリも可能。その際でも上がり2位の34秒6を記録し、着差は2馬身半。圧倒的なスタミナとパフォーマンスを披露している。
淀3000mの長丁場でも弩級の能力を発揮できるだけあって、タフな中山2500mも対応可能。55kgと古馬に比べれば斤量での恩恵があり、中間の気配も上々。3歳馬の好走がデータ的に多い有馬だけに、ここも有力候補にあげられよう。
トーセンジョーダン
札幌記念勝ちから秋の天皇賞へと駒を進め、見事にG1初戴冠。非常に激しく厳しい流れの中から中団差す競馬。圧倒的レコードを記録したものの展開に恵まれたとの印象があり、世評も殆どがその見解であった。
が、次走のジャパンCでは一転して先行競馬。番手から粘り込みブエナビスタの2着。着差はクビで、秋天勝利が単なるフロックではなかったことを自力で証明してみせた。
ジャパンCのように、本来は先行差す競馬が得意な馬。昨年3歳時の有馬記念でも敢然とハナに立ち、コンマ3秒差で5着に粘っている。中山2500mは非常に合うタイプで、本格化確実な現況。連軸候補の一角にあがる。
ヒルノダムール
今年の天皇賞・春の覇者。その後はフランスに遠征しG2フォワ賞2着。凱旋門賞は10着に敗れたが、59.5kgの酷量に加えて季節外れの猛暑でイレ込んだ。この大敗は度外視していい。
距離的には1800mから3000m級の長丁場までこなすオールマイティー。皐月賞は後方から追い込んで2着であったが、最近は中団からのマクリも覚えた。その分キレは削がれたものの、スピードはなかなか衰えずいい脚を長く使う。
中山は元々苦にしないタイプ。海外遠征から約3ヶ月間隔のあいた点が心配だが、仕上がり次第で食い込みの余地は大いにある。
ブエナビスタ
ジャパンCで今年初勝利を飾り溜飲を下げた現役最強馬。このところ惜しい2着や悔しい降着が続き、秋天も本来の力を発揮できずに4着となったが、前走で見事な復活を飾った。
この有馬記念がラストランとなり、同馬の偉大な歴史にも幕。馬体が丸みを帯び明らかに繁殖へ向かう状態となっているため、引退もやむをえないだろう。
有馬記念は2年連続で2着。ここは最後の雪辱を果たす舞台となる。ジャパンCで脚部に軽い出血があったが、その傷も癒えて中間の気配は良好。勝利したその当時と変わらない好調にある。
有終の美を飾れるかどうか。強敵多く群雄割拠の状況であるため油断禁物だが、馬券圏内の目は十分にある。
ヴィクトワールピサ
昨年の有馬記念覇者にしてドバイWC優勝馬。今年は同馬のキャリアにおいて最も輝かしい栄光を背負った年度であった。
しかし、ドバイ以後は順調を欠いて、8ヶ月ぶりで臨んだジャパンCは13着敗退。終始後方からの競馬で、まったく見せ場すらなかった。
当時は仕上がりの点でも疑問で、やはり同馬といえども久々にしては舞台が酷。その点で責められない部分はある。鞍上のデムーロも、ただコースを回ってきただけの騎乗をしたような印象だった。
中山は4戦4勝の得意舞台。中間の気配はさほどでもないが、一変があるならここ。同馬もブエナ同様にラストランとなるが、果たして最終追いまでにピークの状態へ持っていけるか。カギは仕上がりの点にあるだろう。
まとめ~競馬チャンネル推奨の買い方
昨年度の有馬記念は3歳勢が人気となったが、今年も三冠馬オルフェーブルが人気を背負いそう。最初にして最後のオルフェ対ブエナ。いやが上にも盛り上がる。
本年の勢力図からみれば、ジャパンCを勝ったとはいえ下降線にあるブエナ、ドバイ覇者とはいえ順調を欠くピサなど上位人気古馬陣に絶対的な信頼がない。その代わり秋天を制して以後勢いに乗るトーセンジョーダンやオルフェの存在が際立ってみえる。有終の美よりも、新勢力下克上あるいは世代交代の目が可能性大であるように思われる。
こういった意味合いから、連軸候補として現時点で特捜班が推奨するのはオルフェ&ジョーダン。内枠に入ればアーネストリーにも粘り込みが期待できる。
買い方としては連軸流しかフォーメーション。中波乱を想定し、馬単や3連単流しにはマルチを用いたい。3着に伏兵が食い込むケースが多いレースでもあるので、フォーメーションの場合には3着馬を広め選択するべきだろう。