動物感覚
リードを引っ張る(小型犬の場合)
何でリードを引っ張らないように躾けるかと言うと、「犬も人も危険だから」です。
その点で言うと、トイグループに属する小型犬の場合、少しくらい引っ張ったってどうって事ないので引っ張らないように躾けることは無いかな?なんて思いがちですが、まぁある意味当たってます(笑)
少なくとも保護者が危険にさらされる事は少なそうですし、引っ張られた時に保護者が不快に感じない程度であれば許せるでしょう。
ただ、やはり保護者がタイヤ化している場合、対処しないと事故が起こる可能性が高くなります。
どういう事かというと、犬が自分ひとりで散歩している気になっていると、保護者がリードを取り落とした時や、予期せぬハプニングが起きた時にコントロール不能になってしまうのです。
要するに交通事故で死んじゃったり、大型犬に噛まれたり、犬嫌いな人に蹴飛ばされたりするという事です。
典型的なのは、前に進みたいあまりサオ立ちになったり、亀のように重心を低くして地面をかきむしりながら前進している子。
こういう子はは要注意です。
他の犬に突進して行く子も恐いです。
小型犬の場合、前を歩いててくれた方が姿が見えて安心するものですが、犬からすれば保護者の姿が確認しづらくなるので保護者がタイヤ化しやすいという難点があります。
臨機応変に対応したいものです。
そんな時基準になるのが、保護者が止まった時、犬は一緒に止まる事が出来るかどうか?
それが出来ない場合はきちんと主導権は保護者が持っているという事を判らせないといけませんし、当然引っ張りの躾けも必要です。
上の動画のような事ができる事が大切です。
甘噛み
甘噛みというと、子犬の頃のじゃれ噛みの事ですが、人間の子供で言うとチャンバラとか、プロレスごっこみたいなものです。
ここで、一つ問題になるのが、「噛む加減を教える事」と、「人間の手を噛んではいけない物と教える事」が混在しているという事です。
一見、二つの事柄は相反するように思いますが、同時に教える事は可能です。
噛む加減を教える事に関しては、後輩犬の指導の上手い先住犬がいたり、遊び上手なお友達犬がいれば解決できますが、そうでない場合は保護者が教える必要があります。
これは、犬の将来に対して重要な意味を持ちます。
犬歯というのは犬にとっては武器です。
人間の子供でも、例え遊びであっても、「人を強く殴ってはいけない」とか、「BB弾鉄砲は人に向けて撃ってはいけない」とか教えますよね?
そういう事を教えるという事は、自分に対する抑制を学ぶ事になります。
家庭犬の場合は「生き物に歯を当ててはいけない」と教えます。
噛む加減を教える教え方
一緒に遊んであげる事から始めます。
犬同士の遊び方をよく見ていると、歯を当てずに遊んでいるか、噛んでいるように見えて、ちゃんと加減して噛んでいます。
自分の手を犬の口に見立てて、犬の首や耳元、アゴなどをつついたり、軽くはさんだりしながら遊びます。
あくまでおもちゃなどではなく、自分自身の手でやります。痛みをきちんと知るためです。
強く噛んだら、下記のやり方で対処します。
それと、犬から仕掛けた遊びは無視します。遊び始めるのは必ず保護者の方から、仕掛けます。
強く噛んだ場合の対処
本などを見ると、色々なやり方が書いてあります。
噛んだら、無視するとか、マズル(口から鼻にかけて)を掴んで叱るとか、口の中に手を突っ込むとか、アゴを掴むとか、ひっくり返して叱るとか、etc・・
どれも人と犬の組み合わせによって向き不向きがあります。
ケースバイケースです。
遊んでいる内に興奮して本気で噛んでくる場合
このタイプの子は「強く噛むのがいけないという事を教える事」と、「興奮をおさめる事」を目的とします。
噛むのがいけないと教えるのは、タイミングが命です。
上に書いた方法で、自分の犬にあった方法(それをやった時の犬の状態を想像してみてください)を選んで、強く噛んだまさにその時に実行します。タイミングが合わないとやらない方がマシという事にもなりかねないので十分注意して下さい。
大体、興奮して噛んでくるのは、テリア種やドーベルマン、闘犬種、ボスタイプの犬などが多いです。
シャイな子は「ノー」と低い声で言うだけで十分です(「イエス」か「ノー」か 参照)。(シャイだけど支配的という犬も居ますので)
それ以外の子は力で対処しなければならない事もあります。
しかし、力で対処するのに向かない人も居ますから、そういう場合、「ノー!」で、大きな音を立てるなどして物理的にやめさせます。
興奮をおさめるのは、まず人間が落ち着く事です。深呼吸して、動きを止め、犬から目をそらせます。それでも犬が落ち着かない時は、犬の胸を片手で押さえ、もう片方の手で背中を押さえ、出来れば、お座りさせて物理的に動きを止めて、暴れなくなるまで待ちます。暴れていても根気よく待ちます。落ち着いたら静かに褒めて放してあげます。
この「興奮をおさめる事」はこういった興奮症の犬にとって大事なトレーニングなので、興奮する度にやってあげて、興奮してもすぐに落ち着く事を癖付けます。
あまりにも興奮しやすい犬は、少し興奮してきた所で、落ち着くように仕向けます。
街中や公共施設で事ある毎に興奮してそれがおさまらないようでは大変な事になります。すぐに効果のある事ではありませんが、地道にやる事によって、必ず変わってきます。根気よくやってあげて下さい。
すれ違いざまに噛んで遊びを誘う
このタイプの子は「人を噛んでも遊んでもらえない」という事を目的に教えます。
サイトハウンドなどに多いタイプですが、ラブやゴールデンなど、遊び好きの腕白坊主などもやります。
走って来て、人の足や服をすれ違いざまに噛んで、「へっへーい!!ココまでおいで~きゃはははは」と逃げ回って楽しみます。
(注:自分で走ってこないで、人が通った時にやる場合は、これには含まれません。恐がりな子がやる追い噛みの可能性があるので別の対処が必要です)
無視できればそれに越した事は無いのですが、子供にやったり結構痛いやり方で、皮膚を抓んでいったりするので、無視するのにも限界があります。
こういうやり方をする子は実は気が小さかったりする事が多いので、体罰は厳禁です。
ここで体罰などをしてしまうと信頼関係が崩れて噛み犬になったりする事もあるので十分注意して下さい。
「いけないでしょう!!」と断固として叱り、逃げても隅に追い詰めます。追い詰めても触る事はせず、距離を置いて目で威圧します。大抵犬は、そこで腰を低くして目をそらし、耳を伏せるなどのなだめ行動をしますから、そしたら許してあげます。
もし、腰を低くして目をそらし、耳を伏せるというような行動をせず、耳を立てキッと保護者を見据えて唸るなどの行動をする子はそうとう勝気な子なので、そこで絶対に負けてはいけません!!!低い声で「あんたそんな態度して良いと思ってんの#?」と威嚇して、低い声で説教します。相手が目をそらすまで、目を見続けて気迫で攻めます。
相手が目をそらしたら、「そうそう」と、目を見たままゆっくり立ち去ってあげます。
耳を伏せて唸っている場合は噛んでくる可能性が高いですが、少し離れて目を見据えます。大人しくなったら、目を見たままゆっくり立ちさってあげます。
何気に噛む
何の気無しに気が付くとガブガブやっているという子が居ます。
そういう子は口寂しいかお腹が空いているか喉が渇いているか暇なのか、モヨオシテいるのか、生理的な欲求がある場合が多いです。
その場合は、口の中に手を突っ込んだり、アゴを掴んだりして、「事故的」な「嫌な事」を経験させると一時的に収おさまります。
しばらくしたら欲求を予想して、満たしてあげてください。
犬用のガムなどを与えるのも良いでしょう。
甘噛みは一過性のものですが、きちんと教えないと、「人間は噛んでも良いもの」と覚えてしまうので、気をつけましょう。
ラブラドゥードゥルに会ったよ
イギリス人一家が、連れているラブラドゥードゥルに会った。
ほー!これが噂に聞くブラドゥードゥルかぁ~!と思っていろいろ質問しようと思ったけど、なんせ中学1年生レベルの英語しか出来ず・・・片言の英語で、歳とどこから来たのかと、名前位しか聞けんかった・・・
もっと、毛は抜けるのかとか、伸びるのかとか、兄弟は見たのかとか聞きたかったのに・・・・
で、ノーリードにしていて、いざ呼び戻そうとしたら遊び足りなくてなかなか来ない。
でも保護者の外国人の女性は、「COME」ではなく、「SIT!」と言っていた。
何度も何度も、しつこく名前と、「SIT!」を繰り返し、逃げてもまた「SIT」と言って、最終的に犬が根負けして「SIT」した所にチョークを付けて、褒めてあげていた。
犬の歳は1歳半位だと言う。
その位の歳だと、他の犬と遊びたくてごねる時なんて、こんなものなんでしょうけど、
私が「ほぉ~」と思ったのは、保護者の女性の一貫した姿勢と落ち着いた対応だった。
日本人だと、おろおろして、世間体を気にしたり、感情的に怒ったりしそうだけど、何か文化の違いを感じたよ・・・
ザ・カルチャークラッシュ
ザ・カルチャークラッシュ―ヒト文化とイヌ文化の衝突 動物の学習理論と行動科学に基づいたトレーニングのすすめ
ジーン・ドナルドソン著 3885円
アメリカっぽい書き方ですが、読み物として面白いし、犬のトレーニング本としては群を抜いています。
私の一押しはゴーン星人かな(笑)
犬は強い保護者に従う
犬に一番必要なのは身の安全です。
だから犬は自分より強い人のいう事を聞きます。
「強い」というのは、何も“肉体的”な事ばかりではありません。
“精神的”に「強い」という事が重要です。
犬は遊んでくれる人も好きですし、食べ物をくれる人も好きです。
でも、「好き」と、「いう事を聞く」のは、別物です。
いざという時に言う事を聞くのは、自分を守ってくれる、強い精神をもった人なのです。
逆に、保護者が犬より弱いと、犬は自分の身を自分で守ろうとして、過度におびえたり、攻撃的になったりして、情緒不安定になります。
強い精神とは、迷わず、冷静で、力強い、包み込むような、そんな精神です。
肝っ玉母さんのようにどっしりかまえて!犬を育てよう。