彼女1 | T.S.さん捜しブログby nizan

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人生の夢・ロマン・不条理・日常・歌詞などのブログです。別名を「人生の走馬灯ブログ」と名乗りたいと思います。


出会いは薄暗い地下室のような書籍、酒類、フルーツ、鉢植えの草木、雑貨などを扱う店である。
何気なく店内を覗いた私に最初に話しかけて来、試飲、試食を勧めたのは10人近い女性店員の一人、彼女であった。
客慣れを少しもしていない、素朴で慎ましやかな彼女であったが、ホフマンの『黄金の壺』の緑色の蛇の女性のように妖しげな魅力を持ち、燃えるような情熱がありながら、それでも純情であるという矛盾するような面を兼ね備えた稀なる女性だった。
私を忘れないで!と訴えるような瞳はきらきらしていた。

店内は閉店廃業に備え、忙しく働く彼女の熱気であふれていた。
そして、閉店したらしく彼女とは音信不通になった。
そして数カ月の空白があった。

私は覚えていないが、いつの間にか、知らないうちに電話番号、メールアドレスの交換をしたらしく、ある日、私の初期の据え置き型の卓上電卓にメールが入り、なんとそのメールを開封することで、不思議なことに直接の音声通話まで出来てしまった。

彼女に誘われ、彼女の自宅を訪ねたが、彼女はお母さんと二人暮らしであった。

お母さんも彼女同様、魅力的な方で、歓迎を受け、たくさんのおみやげも頂いた。
本心からの歓待であった。
彼女のお母さんは、私が彼女の相手として認めてくれているようだった。
そしてまたしばらくの期間の空白。

彼女から再び連絡が入り、明るい声ながら「私なんかに気はないのだろう」とすねた。
請われるまま、再度彼女の家を訪ねると、前回の訪問で私が忘れてきた物が整理されており、前回の訪問時に写されたたくさんの写真ももらえたが、彼女や彼女のお母さんがカメラを構えた記憶なぞない。
誰が撮影したのだろう?
彼女は隙を狙ってキスをせがむが、運悪く彼女のお母さんに目撃されてしまう。
お母さんは呆れて怒っていたが、本気の怒りでないことは明らかだった。
そしてまたしばらく空白。

彼女の以前勤めていた倒産した店が奇跡の復活を果たし、彼女は忙しく開店の準備作業をしていた。


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