達人2人が案内された奥の部屋は4人掛けのテーブルが2つ。間を白いカーテン様の布で仕切ってある。隣は男女の2人連れ、こちらは男同士。あちらは知りませんが、こちらは清い関係です。
手渡されたメニューを開くと真っ先に目に飛び込んできたのは琉球泡盛の4文字。泡盛はかねてから不肖70rockが中国の茅台(マオタイ)酒に匹敵すると高く評価しているお酒です。
中国貴州名産のマオタイ酒
「ほぉ、泡盛がある。サイコさん、これどう?」「あっ、いいですね。それいきましょう」「それじゃボトルで。あとグラス2つとお湯ね」
流れるような試合運びでお酒の注文が決まってボーイさんはカウンターへ。達人2人はお絞りでお手手を綺麗綺麗に。このあたりの段取りも完璧でありました。
お酒が運ばれてくるまでの間、「で、サイコさんは今日は何時頃までOKなの?」「えぇと、大宮の最終電車に間に合わせるためにはここを10時半頃には出ないとマズイですね」「あっそう。じゃ3時間半あるから時間は十分か」
会話も滑らかに進んで、あとは泡盛とグラスとお湯の入ったボトルがお盆に乗って空中を漂いながらやってくる、そのうしろにお盆を支えたボーイさんが付いてくる。
もんだとばかり思っていたら、やって来たのは泡盛無しのボーイさんのみ。その顔には心なしか暗い影。どれくらいの暗さかというと、見たこともない名前も知らない遠い親戚が亡くなった報せを聞いたときくらいの暗さといえばいいか。
テーブルの脇に立ったボーイ君。接客用の申し訳なさそうな顔で言うには、
「えーとですね。泡盛のボトル・サービスは昨日までで終わっちゃってるんですよ」
[続く]