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コアラは神経質な動物だそうですね。オーストラリアの動物 園では入園者にコアラを抱かせるのを売り物にしていて、日本の観光客にも人気 がある。ところが抱かれるほうのコアラはストレスで病気になって早死にしたりする。そんな訳で、コアラを抱かせるサービスは廃止するべきだという声もある そうです。

繁殖もけっこう難しいらしい。雌コアラがなかなかその気になってくれない。三高じゃなきゃヤダとか、選り好みが激しいんでしょうね。

不治の病に罹った雄コアラが必死の思いで塀を乗り越え、隣りの房にいた雌コア ラとの恋を成就させた。

この話はワタシ、新聞で読みました。で、このブログを書くために心当たりの時 期の新聞を探したんですが、すでにトイレットペーパーに変わった後だった。

そういう訳で、以下のお話はワタシの乏しい記憶をたどって構成したものです。

その雄コアラ。名前はモモジにしときましょう(理由はいずれ説明します)。

モモジは癌かなんかの重い病気に罹っていて、余命いくばくもなかった。担当者 は心を痛め、せめて余生は安楽に、と心掛けていたそうです。そのうちにコアラ の恋の季節が来た。ワータシはハダシデぇぇぇ、チッチャナカイノフネぇぇの恋 の季節です。

死期が迫っていて精彩がないモモジ。それでも恋の季節は容赦がない。隣りの房 にいる雌コアラが何やらお尻のあたりから気になる匂いをまき散らす。それが風に乗ってきてモモジの鼻先を甘くクスグル。

もともと好き者だった、おっと失礼、雌コアラに人気があったモモジ。むっくり と病床から起き上がると、匂いがやってくる方向をキッと見やった。座して死を 待つよりは男らしく最後のオツトメを果たそう。そしてデキウレバ、夜明けのコ ーヒーを2匹で飲もう。そんな決意のこもった目だったそうです(ワタシの想像ですけどね)。[続く]


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コアラは普段、園内では夫婦別姓だそうです、じゃなかった。園内別居だそうです。彼らの生態を考えるとそれが自然でしょうね。なにしろほとんど1日中ユーカリの木の股のところに腰掛けて寝てますからね。

雄コアラと雌コアラが仲良くイチャイチャノンノンなんかしていると、いつ木から転落して天国行きになるか分からない。だから平安時代の貴族のように通い婚です。

恋の季節がくると、使いのモンに託してユーカリの葉っぱに爪で書いた和歌なんかを贈る。『ユーカリの 葉にぞ籠もれる 君を見て そぞろもよおす 我ならなくに』なんていう藤原定家はだしの名歌を残しているコアラもいるそうです、なーんて。

すぐ隣りの房では雌コアラが匂い付けをしたり、甘い鳴き声を出して誘ったり、しきりにモモジにモーションをかける。モモジは病いを押してフラフラと立ち上がると、房を隔てる塀だか壁だかを爪でガリガリと引っかいて求愛に応える姿勢を見せてたそうです。

男の、いや雄の本能といえばそれまでだけど。ナンダナァ。死期が迫っているというのに、見上げた根性だ。見上げたもんだよ、タヌキのナントカというコトバもあるが・・・関係ないか。いや、とにかくですよ。モモジの気持ちは痛いほどわかる。書いていても涙が止まりません。だから今日はここまで。[続く]