チャールズは以前、ピクシーズの曲はどうあるべきか、どう演奏するべきかについては暗黙の規則があるとよく言っていた。それがなぜ暗黙の規則なのか。それは、はっきり表現できるものではないからだと彼は言う。

理想を言うとピクシーズの曲は2分ぐらいがいい。("it's more satisfyin', I'm telling you.") ドラマーのDavid LoveringとペースのKim Dealによるバックビートは、そのペースとフレージングによって、チャールズのボーカルが伝える感情を反映しようとする。一曲歌い終わるまでに少なくとも一度はリズムを変える彼のボーカルにこめられた感情を。

Joey Santiagoのギター・プレイはおそらくピクシーズの中で最も重要で、それとすぐ分かる部分でもある。オフ・キー、オフ・キルター。 ジョーイのギターはメロディーの中を縫うように鳴り響き、しばしばボーカルの歌詞を覆い尽くし 、ついには指が飛び耳が破れるような急展開のなかで断ち切られたように終わってゆく。

このバンドのボーカルは、みんなが良く知っているように予測不能なところがある。彼の声にも限界があることを思えば、チャールズは自分の声帯から最大限の可能性を引き出しているということができる。

去年のニール・ヤングのトリビュート・アルバム「THE BRIDGE」("Winterlong" をカバーしている)に参加して以来、チャールズの柔らかい、ほとんどファルセ ット・ボイスのような声の中に、確かにニール・ヤングのようなフレージングが顔を出している(キムが歌う"I've been Waiting For You,"は4トラックのシングル盤「Velouria」に収められている)。それに加えるに、あの捉えどころのない魅力を持った詩・・・・・

ピクシーズの音楽の中にスタンダード化できる何かがあるとすれば、思いだしてみるべきだ。去年の後半にキムがThe Breedersを結成するまで、このバンドこそはメンバーそれぞれが欠くことのできない一部となってきた唯一のバンドだったということを。

チャールズは強調する。「どうすりゃ俺たちが変われるんだ?」彼は尋ねる。「 俺たちはずっと長くやってきた。“よーし。じゃ、ホントに人と違う何かをやろうぜ"と堂々と言えるくらいにね。違うかい?」

「俺たちが買ったばかりの新しいビッグなマーシャルのアンプが好きになれるかどうか、俺たちは今でもその答えを出そうとしてるんだ。わかるかい?俺たちはど うギターを弾くべきかを知って、それを身に付け始めたばかりだ。俺たちの努力 とプレイは始まったばかりなんだよ」