
The Stone Roses - 解説
メンバーはIan Brown(Vo)、John Squire(G)、Mani(B)、Reni(D)の4人。
89年に発表された彼らのデビューアルバムは最高の賞賛をもって時代に迎えられ、現在もロック史上最も重要な作品の一つに数えられている。
しかし確固たる評価がある一方で、90年代のロックを知るファンの間では、このアルバムについて激しい賛否の論が渦巻いているのも事実だ。
確かにこの作品には、ほぼ同時代に米シーンに革命を持ちこんだNirvanaや、90年代を代表するOasisといったアーティストが持つ爆発的なインパクトはない。
ではストーンローゼズがあの時代に迎えられた理由は何だったのか。思うに、それは「新しさ」だった。
何が新しかったのか。
80年代のUKバンドに共通する潜在的な特徴。それはパンク・サウンドの荒々しさとスピード感の影響を色濃く受けていること。独自性を出そうとして様々な実験を繰り返したことだ。そのせいか、どのバンドの楽曲も自然なリズム感を欠く結果になった。
そんな楽曲に飽き飽きしたリスナーは"踊れる音楽"を求めはじめる。80年代にはディスコ・バンドが人気を博した。
だがリスナーは心の奥では純粋なロック・サウンドを求めていた。
そんな要求が高まった80年代の終わり。突如、ストーンローゼズが登場する。60年代ロックの雰囲気を取りこんだサウンドを軸にしながら、最先端のダンス的要素と独自のグルーヴ感を備えた革命的な作品「The Stone Roses」を携えて。
80年代のロックに飽き足らない思いでいたファンに、それがいかに新鮮に響いたか。
大ヒットとなったデビュー・アルバムに続いて、ファンクを取り入れたシングル「Fools gold」をリリースしたローゼズは、その人気と地位を確固たるものにする。
だが彼らはやがて様々なトラブルに巻き込まれた挙げ句、シーンの奥底へと消えていく。期待されていた時代を集大成するアルバムを具体化できないままに。
94年、突如として復活を遂げたローゼズだったが、彼らの音楽から衝撃や新鮮さは消えていた。時代は彼らを残して足早に通り過ぎていく。彼らのギグに衝撃を受けて結成されたオアシスは既にローゼズを遥かに超えるスターになっていた。
メンバーの結束も壊れきっていたローゼズは、結局、96年に終焉を迎える。イアンとジョンの関係は未だ修復されていない。
自らの手で新しい時代の扉をこじあけながら、その新時代に打ちのめされたローゼズ。では彼らの恐ろしいまでの魔術はいったい何だったのか。
まだ色褪せない1stの輝きを前に、解けない疑問は続く。