150年前から今に至るまで、人は都市を時計仕掛けの機械のようなものとして動かしてきた。それがすごいと言いたいわけではない。要は効率重視でやってきたということだ。

 
著者の主張では現代の都市は 19世紀頃から作られてきた都市モデルの上に成立している。人々は都市に住み、労働集約型の産業(当時で見れば重工業の巨大工場だ)地域にバスや電車で移動する。起点となるのは駅やバス停だ。これらは決められたルートを通る。料金は深夜の割増を除けば一様で、需要の多い時は高騰したり、閑散期に安くなったりしない、Uberのように。少なくとも今のところは。

 
バス停に行くのではなく、バスが迎えに来てくれる。乗客の行動モデルを作り上げることができれば (※一部原文を意訳)

 え、それはすごい。バス停が自宅の近くにない都市生活者にとっては願っても叶ったりだ。ただしバスが幹線道路だけでなく生活道路にも入って来てくれるのであれば。

 Bridjはソーシャルメディア解析とアプリを組み合わせて乗客の利用パターンを分析し、バスを求めている場所へとバスを送り込む。創業者たちは400万ドルのシード投資を受けることになった。

 さすが、アメリカ。そんなスタートアップがすでにあるとは。日本でも既存の考えから変えられないのか。だけどそんなことをすれば既存のシステムが崩れてしまうのでは?

 一方には、従来型の低料金だけれども柔軟性の低いマストランスポーテーションがある。もう一方に、マイカーやUberといった、高料金だけども柔軟性が高いサービスがある。Brijdjは、その中間のような適度な柔軟性と適度な料金設定を備えた第3の道を目指す。

  BridjのWebサイトを見てみると、使われている車は10~12人程度のマイクロバスのようだ。乗り合いタクシーの大人数版という印象を受ける。海外で空港から市街地に移動するときにもこういう車を使うことが多いと思う。日本で言えばハイエースワゴンやエスティマあたりの廉価版か?既存のバス産業とは機種もポジショニングもまるっきり違うわけだ。黒塗りの高級ハイヤーでもない。Uberの二番煎じにも思えるが、それは思い違いかもしれない。彼らは自分たちの立ち位置をはっきりと決めている。日常的にはタクシーよりもバスを使う人口の方が多いだろう。あらゆるものがつながっている現代だからこそ成り立つサービスである(極地的に限定されたサービスを除外して考えれば)。

 あらゆるものが繋がりあった現代都市の複雑さにおいて、シンプルなプラットフォームは存在しえない。

 Uberのようなサービスが都市に普及していく、それをUberがやるかまたは既存の団体が行うかは別にして。公共サービスの再構築または再定義がスマートシティのゴールなのだろう。僕は空港までのアクセスが楽になればすごく嬉しいのだが。


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