彼は私の話を聞いていた。
ただ彼は、そんな話をする私を許せなかった。
王様に、自分の辛い気持ちを
伝えるなんて、許せなかった。
話は聞いていた彼が、
すぐに従業員を募集し、
女性を雇い入れた。
とても良い人だったが、
少し、自分を守ることに
必死になりすぎる傾向があった。
彼に似ている
私はそう思った。
その女性は、数々の仕事を
してきていて、経験豊富だった。
すぐに仕事も覚えて、
私の期待以上の働きをしてくれた。
逆に彼は、その女性の扱いに
困っているようだった。
そんなに主張の強い人は初めてだったから。
その主張は、間違っているものではなく、
労働者には当たり前の要求だったので
今まで周りにいた、黙って働く人との差に
彼はショックを受けていたのだろう。
私は密かに困っている彼を面白がっていた。
私に余裕が出てきた。
私もある意味、その女性に
ショックを受けていたのだろう。
こんなこと、言っていいのか・・・。
私にも少しずつ、笑顔が戻ってきた。
今までにないくらい、
その女性の主導で会社が進むようになった。
そんな会社に彼はもっと寄り付かなくなった。
彼はゴルフ以外に楽しみを見つけたようだった。
都内にある有名レストラン。
話題のスポット。
新しくできた商業ビル。
誘われたイベント。
仕事をする私たちをしり目に、
ウキウキとどこへでも出かけて行って
帰るのは午前様が当然になった。
たまに行く彼の実家でお義母さんとお茶をしながら
彼の行動について 夜も忙しそうだ とチクっていたことに
私は何の意図もなかったが、
虫の知らせがあることを思い知ることになる。