彼は私の話を聞いていた。

ただ彼は、そんな話をする私を許せなかった。


王様に、自分の辛い気持ちを

伝えるなんて、許せなかった。


話は聞いていた彼が、

すぐに従業員を募集し、

女性を雇い入れた。


とても良い人だったが、

少し、自分を守ることに

必死になりすぎる傾向があった。

彼に似ている

私はそう思った。


その女性は、数々の仕事を

してきていて、経験豊富だった。

すぐに仕事も覚えて、

私の期待以上の働きをしてくれた。

逆に彼は、その女性の扱いに

困っているようだった。

そんなに主張の強い人は初めてだったから。


その主張は、間違っているものではなく、

労働者には当たり前の要求だったので

今まで周りにいた、黙って働く人との差に

彼はショックを受けていたのだろう。

私は密かに困っている彼を面白がっていた。

私に余裕が出てきた。

私もある意味、その女性に

ショックを受けていたのだろう。

こんなこと、言っていいのか・・・。

私にも少しずつ、笑顔が戻ってきた。



                               さいかのブログ ~私はこうして殺された~-16-2


今までにないくらい、

その女性の主導で会社が進むようになった。

そんな会社に彼はもっと寄り付かなくなった。

彼はゴルフ以外に楽しみを見つけたようだった。

都内にある有名レストラン。

話題のスポット。

新しくできた商業ビル。

誘われたイベント。

仕事をする私たちをしり目に、

ウキウキとどこへでも出かけて行って

帰るのは午前様が当然になった。


たまに行く彼の実家でお義母さんとお茶をしながら

彼の行動について 夜も忙しそうだ とチクっていたことに

私は何の意図もなかったが、

虫の知らせがあることを思い知ることになる。