彼は口では離れて暮らす生活に
苦労している様子だったが、
内心、満足していた。
暇なときは子供に会いに遊びに家に来た。
予定のないときはご飯を食べに家に来た。
お土産のある時は笑顔を強要しに家に来た。
具合の悪いときは看病してもらいに家に来た。
手軽に寂しさを癒してくれる家族に会いに来た。
まるで愛人だった。
私はそんな生活に抵抗した。
今日は子供の具合が悪い。
今日は出かける予定がある。
今日はやめておきましょう。
今日は・・・
そう易々と都合のいい家族になる気はなかった。
この状況をよく知る友達に、
彼は帰ってくる気があるの?
と、聞かれて
さぁ・・・
と本気で悩んでしまった。
何か月か様子を見ていたが、
帰る気配がない。
そんな話すら出ない。
こんなのは家族じゃない。
子供のこれからもあるし、
そろそろ帰ってこない?
そんな提案をしたら、
以外にも、彼は受け入れた。
じゃあ、1か月後に帰る予定入れる。
彼はハッキリそう言った。
私は気抜けしてしまった。
本当に帰ってきてほしいのか、
よくわからなかった。
でも、やり直すなら
家に帰ることは当たり前の行動だと思ったが
なにかモヤモヤした感じだった。
夜、彼が突然電話してきた。
やっぱり、まだ無理みたい。
・・・ふぅん。想定内だよ。
強がりではなく、本当にそう思っていた。
彼のその言葉にスッキリした気分だった。
出戻り引っ越しを、まだ「その人」に頼んでなくて良かったとさえ思った。
