亡くなったあの人は、大手企業のトップセールスマンだった。
かといって、押しの強い人では無い。
なぜトップセールスマンだったか。
それは人の良さだった。
温厚なあの人は、押し付けるセールスは一切しなかった。
プランを説明してあとはお客さんに任せる。
やるか、やらないか決めてもらう。
それがあの人のやり方だ。
そうして決まった契約のプランをお客さんと会社の各部門との間で一緒に進めていく。
寄り添うセールスマンだった。
会社内でも、自分のときは担当になってほしいとオファーがあるくらいだ。
今でもあの人のことを想うと、哀しくなって涙が出る。
あの暖かな人がなぜ死ななくてはならなかったのか。
私ができることはなかったのか…
この世の出来事にどんな意味があるのか…
私の代わりではなかったのか…⁉
きっと、ずっと、一生、この思いを抱えていくことで、あの人への償いになるんだろう。
それしか出来ない。
辛くもあり、それでいて暖かな気持ちにもなれる。
あの人を思い出すから。