事務所を移転して間もなく、
住むところも引っ越した。
中古だが、一戸建てだ。
前の住人は、隠居暮らしのご夫婦だったが、
急に引っ越すことに決まり、
買い手を探していた。
なかなか買い手が見つからないとき、
彼が手ごろな値段で交渉を成立させた。
以前より結婚生活のステップアップを
気遣っていたお義母さんもこの報告を喜んでいた。
買った後、家を見に行ったとき、
実家より広い家を見て驚いた。
広く、何もない部屋は
どこかさびしげだった。
契約を交わした後、
両主人と、関係者で食事をした。
彼は、よい買い物ができたと、感謝した。
売り手のご主人は、泣いていたという。
彼は、長年住んだ家を手放すのが
悲しいのかと思っていたが、
実は、奥さんに離婚を迫られて、
家を売却して、財産分与したのだと後日、
関係者にこっそり教えてもらった。
私もあとから聞いて、
本当に熟年離婚がはやっていて
、周りにもあったのだと、感心してしまった。
そんな曰くのことなど、
新しい生活や、新しい家を手に入れた、
今の浮かれた気持ちに比べたら些細なことで、
まさしく他人事だった。
私達夫婦も新しくなったように感じた。
そんなとき、私は赤ちゃんを熱望した。
彼に相談したところ、
彼も結婚6年目にして子供がいないことを
周りからとやかく言われるのに疲れたらしく、乗り気になった。
