アパートで幸せの絶頂にあった私が、
越えなければならない壁が目の前に迫っていた。
結婚したい相手がいる。と家族に言うこと。
あまり帰らなくなった家に
何日かゴロゴロしていたとき、
意を決し、母の近くに座った。
彼からもらっていた名刺を見せて、
私、この人と結婚したい。
そう、つぶやいた。
母は、黙っていた。
どんな生まれで、
どんな仕事をして、
どんな人かを伝えたが、
母は、黙って聞いていた。
このことをどう思うのか尋ねると
どうせ言ってもわからないでしょ。
と、冷たく言い放った。
はれものが何を言うのだ、
二十歳の小娘が結婚だなんて、
どうせお前は何を言っても聞かないのだから・・・。
そんな冷たい空気が漂っていた。
私はその場を早々に引き揚げた。
結婚したら、私みたいなお荷物が
家からいなくなるのに
なんで怒るのだろう、と、
私にはその支配的な冷たい空気が読めなかった。
