高校入学したての頃、学校からすぐ近くの老人ホームでアルバイトを募集していたのです。将来介護士にないたいとかではなく、ただ学校から近いという理由で面接を受けたのです。あの頃は、まだ規制が厳しくなかったのでしょうか。。無知識、無資格の私が『この人の食介お願い!!』とバタバタして常に忙しそうな介護士さんに認知症の方の食事介助をお願いされたのです。その方の表情は険しく口をへの字にして、スプーンを口元に運んでも口を開けて下さらないのです。今なら認知症なので仕方ないと分かるのですが。。

その時ふと音楽が流れ、その方が指でリズムをとりながら楽しまれ口を開けて下さったのです。あぁこの方は音楽が好きなんだな。この方の年代の歌謡曲なんて知りませんから、童謡で勝負です。少々音痴ですが、許してもらいましょう。私が口ずさむと、その方も目を開けて下さり、リズムをとって下さったのです。嚥下(飲み込み)には問題なかったので、リズムにのりながら完食され、介護士さんに介助されながら歩いてお部屋に戻られるのです。認知症という言葉は後になって知るのですが、こんな勉強も出来ない私でも人の役に立てる事があるのだと嬉しく思った瞬間でした。そして、この方たちが少しでも笑顔になれるような接し方をしていけるようになりたいなと思った瞬間でした。介護士さんっていいな。素敵だな。