「甲子園の優勝投手はプロで大成しない」
果たしてそうだろうか?
何を以て大成とするのだろう。


まず夏に限って言うと優勝投手はたったの101人しかいない。しかも優勝投手が皆プロに行ったとは限らない。しかもプロに入って打者に転向した例も少なくない。そういう篩(ふるい)にかけると甲子園優勝投手のプロ野球選手はもっと少なくなる。
年間ドラフトで一体何人の投手が指名されると思っているのか?たったの101人(実際はもっと少ない)だけにスポットを当てて考えるのはどうかと思う。
プロ野球選手の殆んどは高校野球経験者で甲子園に行けなかった投手の方が圧倒的に多い。そうすると確率から考えても優勝投手がプロで大成するという確率は当然低くなる。ましてや昨今の先発投手の登板間隔は中6日が主流で、試合数は増えているのに登板数は減少した為、200勝する投手が出てこないのは必然。野村氏の言う"大成"の一つに「名球会」を挙げるのなら、名球会など夢のまた夢だ。

甲子園未経験者の菅野を例に挙げる。
6年間で154登板76勝。年間平均約26試合弱の登板で年平均約13勝。
仮に今年を含めた今後6年間平均15勝したとしても166勝。一年浪人した分を15勝として足したとしても200勝には届かない。そして6年後の菅野は36歳なのである。たとえ菅野と言えど、6年後の15勝を私は想像できない。
とてもじゃないが200勝は現実的な数字ではないのだ。ということは大学での4年間(又はノンプロ3年間)を捨てて、高卒で活躍するしか200勝は難しい。
それは甲子園優勝投手に限らず、全ての高卒プロ入りの投手にとってとても難しい数字になるのは火を見るよりも明らかなのである。
「優勝投手のプライドが邪魔する」とか漠然とした理由で「甲子園優勝投手は大成しない」と、ひと括りにするのはいかがなものか?
そもそもドラフトも所詮青田買い。ドラフト1位が絶対に大成するとは限らないのだ。
どんな選手であっても、アマチュアでのキャリアは一つの物差しにしかすぎず、肝心なのはプロに入ってからの戦いに勝ち抜いて行けるかである。そしてそこには"運"という得体の知れないものに左右される事も多いのがプロの世界なのではないだろうか。

野村氏の発言に説得力無し。