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贖罪


湊かなえ





15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入り。娘を喪った母親は彼女たちに言った―あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。悲劇の連鎖の結末は!?








こんなにも報われない物語があるだろうか。


事件の単なる関係者という幼き子らに、被害者の母がたった一言発しただけで人生が変わる。彼女達のその後15年間はいったい何だったのだろう。幸せを掴むことは贖罪に反することなのだろうか。苦悩と葛藤に悩まされ純粋であろうと思われる彼女達の選んだ方法が………人殺し。悪を殺し善を残す。子供の頃に受けた影響とは脳で理解されたものではなく、身体に染み込んだものだったのだろう。だからこそ、彼女達は贖罪を忘れなかった、身体が動いてしまうんだ。


エミリちゃんが殺された。


数年後の紗英ちゃんの婚約者に対する返答にはドキッとさせられた。

「ヒト科のメスとして欠陥があります。」

湊節らしい一言である。


空気がきれいで、夕方にはグリーンスリーブスが流れる田舎。殺人事件とは全く縁がないような田舎なのに工場が出来、都会から移り住んできた住人により田舎の雰囲気も少しずつ変化してくる。事件の発端を突き詰めると、麻子さん、あなたが彼と別れなければね………と。恨むなら自分の過去にしなさいと言ってあげたい。


殺害を防げなかったことや、犯人の顔を覚えてないことは罪ですか?犯人を捕まえることが贖罪ですか?あなたは何を望んで満足できるんですか?お金で解決しない、死んだ友人の人生の代わりに生きない、だけど、こんな贖罪方法があります。これが答え。