横綱の真意 | 内藤堅志オフィシャルブログ「労働科学研究者 内藤けんしの"ちょっといい話かも!"」Powered by Ameba

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労働科学研究所 協力研究員。
第1種衛生管理者。
労働衛生・安全、技能伝承、ストレスを研究しています。成功、活躍した人を分析して「運」も研究しています!

本日の横綱の会見が大きな話題となっています。

会見の中で横綱は‥‥
「なぜ取り直しなのか。子どもの目でも分かる。ビデオ判定は何をしていたのか。悲しい思いがした」、「勝てたから良かったけど。取り直しの重みを分かっていない。土俵に上がってまげを結っていれば、日本の魂なんです。みんな同じ人間。盛り上がるどうこうじゃない。命をかけてやってますから」
と述べています。*1



それに対して、北の湖理事長は‥‥
「審判は5人で見ている。(白鵬は)もっと考えた発言をしないと。横綱なんだから『もう一丁こい』という気持ちでやってもらいたい」
と述べています。*2

いずれも毎日新聞 *1 *2



ここで、お断りですが、横綱は15歳半ばでモンゴルから来日しました、日本人以上の心は持っていますが、日本人ほどに表現は得意ではありません。
どうしても、言葉のニュアンスに違いが生じることがあります。
しかし、労働組合に相当する力士会の会長(労働組合長)として言わなければいけない事はたくさんあります。


今回の取り直しの件では、土俵下の審判部の親方の説明は‥‥
「両者落ちるのが同時と見て取り直し」
と説明しています。


横綱白鵬が言いたかったことは‥‥

「基準が曖昧」

である事に対してだと思います。


取り直し

上の写真を見て同時とするならば「同時の定義」を明確にする必要があると思います。

相撲協会さんは反則である「髷をつかむ」内容(文章)から“故意”という文言を削除しました。

これは素晴らしいことであると思います。

故意か、故意でないかを検証するためには聞き取り調査や画像分析など相当な時間がかかります。



また、横綱が言った、取り直しの重みとは‥‥

「真剣勝負の重み」

と換言できます。

力士は常に真剣勝負で土俵に上がっています。
取り組みが終わった力士、何もないように見えますが、実は大きなダメージがあります。
本場所の一番は、稽古何十番にも匹敵します。

したがって、ダメージがある中での真剣勝負、怪我のリスクは大きくなります。


また、あの一番は白鵬・稀勢の里関、共に相当疲労していたことが推測されます。
取り直しの一番での稀勢の里関の動きを見ればお分かりになると思います。
これが「横綱・大関戦」なんです、横綱と大関のプライドをかけた真剣勝負なんです。

その中での取り直しは、「取り直し中の怪我」や「翌日の取り組みでの怪我」に繫がることが懸念されます。


力士の怪我を防ぐためにも「髷」と同じように、同時も明確な定義を検討して頂きたいと思います。


しかし、労働科学の研究者として一つ思った事は、

組合の委員長(力士会会長 白鵬)が労働者(力士)の代表としてモノを言う。
それに対して、
経営者(相撲協会理事長 北の湖さん)がモノを言う。
そして、第三者機関である横綱審議委員会が発言する。

これは、日本相撲協会が公益財団法人にふさわしい近代的、民主的な組織となった証ではないのでしょうか。


相撲人気復活の背景にはこのような内部の活性化も考えられると思います。

これからの、公益財団法人日本相撲協会、楽しみです!