技能は如何にして身につき、伝承されるのか?
「型」は如何にして、「形」から進化していくのか?
この本、非常に参考になります。
『「わざ」から知る』(生田久美子著:東京大学出版会.1987)
この本に会ったのは2004年。
もう、100回近くは読み直しています。
毎回新しい発見があります。
本書の“はしがき”で著者は(要約)‥‥
『「わざ」の問題は、優先的に身体技能、技術の問題として扱われた。しかも、その技が該当する世界の部外者によっては理解不能な神秘的なプロセスとして。その結果「人間の知識」という観点からは客観的な議論の対象外であった。』
そして‥‥
『私達(著者)は神秘的なプロセス(習得方式)を、「教える」、「学ぶ」プロセスとは区別して、「盗む」プロセスであると解釈する‥‥』
と話しています。
私もそう考えます。「盗む」。
では、盗むためには何が必要か?
・観察力
・意味の理解
・好奇心
・情熱(モチベーション)
・投資(時間、お金:自腹を切る)
などの要素が必要だと思います。
おそらく、レベルが違いすぎる個々の間では、すぐには盗むことはできないでしょう。
意味が理解できないからです。
しかし、何年も続けていると、徐々に分かってきます。
例えば‥‥
長嶋茂雄さんがある場面で「ポンと当てるんですよ」とオノマトペ(擬音語・擬声語)で答えたとします。
普通の人は「えっ、何をするの?」と思うでしょう。
しかし、松井秀喜さんならばその意味を十分に理解することと思います。
これが、レベルの差です。また盗み続けてレベルアップした人の差だと思います。
おそらく、教えられ続けたら擬音の意味を理解するのに後何年もかかると思います。
もう一つ、相撲中継の話し。先場所の相撲中継で‥‥
アナウンサー:若い力士が、35歳の豪風関に元気の秘訣を聞きに来るそうです。食生活やトレーニングとかを。
北の富士さん:でも、なかなか身にならないんだよな~。
と言う会話がありました。
本当に習いたかったら、盗むしかないと思います。
一つ一つの行為を見て、意味づけをして盗むしかありません。
それが、先ほどの時間投資です。
盗む。
悪いばかりの意味ではありません。
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