病気はなぜ、あるのか -進化医学による新しい理解-
(Randolph M. Nesse , George C. Williams:初版2001年4月.新曜社)
という本があります。
なかなか興味深いです。
たとえば‥‥
子供って、野菜、嫌いですよね。
私も、小さい頃は、玉ねぎ、セロリ、パセリ、ブロッコリー、ニンジンなどなど、食べられませんでした。
なんというか、臭いがダメだったり、味がきつかったり‥‥‥‥
私だけではなく、けっこう友達も食べられなかったり。
それはなぜか?
玉ねぎやブロッコリーは、強い味がします。
植物毒素の含有量が強い野菜らしいです。
進化医学では、、、
子供は、毒素を解毒する能力が低いために、食べないのではないのか?
それは進化する過程で身につけた防衛機能ではと説明しています。
ですから、「好き嫌いの激しい、子供でさえ10代になり成長が終わりに近づくとこれらの野菜を食べるようになる」としています。
確かに、私も子供の頃は、玉ねぎ、セロリ、パセリ等が嫌いでした。
でも、今は大好きです。
また、ダイエットをするときは、
「食べ物の種類が多いカフェテリアで食事制限するよりも、ほんの数種類しか食物を与えられない方が食べる量が少なくなる」そうです。
Aというものを食べ続けると、Aが持っている毒素を除去しなくてはならず、Aばかり食べていると除去する機能に負担がかかるために、Aそのものを摂取しなくなる。
らしいです。
もう一つ、なぜ蚊に刺されると痒いのか??
それは、蚊が血を吸うときに血液が固まらないように分泌する物質が反応して痒くなる。
そう、この考え方は正しいです。
進化医学では「なぜ、痒くなるようになったのか?」に注目します。
人間がこの世に出現した当時から、蚊が分泌する物質と反応(痒くなる)していたのか??
進化医学の説明では‥‥
「マラリアなど昆虫を媒介とする一連の危険な病気を防ぐため」と考えられています。
刺されたことに気が付かないと、その後も刺されることになります。
そこで、痒いという「刺激」があれば、人は蚊に刺されまいと行動を起こします。
その結果、感染を防ぐことになります。
同様に、人間は本能的な嫌悪感により、糞や嘔吐物などの感染源になるものを避けるとしています。
人から離れたところで排便をします。
確かに、魚とか動物の中には糞を食するモノもいますよね。
(簡単に説明するとこうなります。もっと本は深いです。また、これらの行動・習慣は、社会的圧力も関与しているとしています)
「ビタミンC」だってもともとは体内で合成されていたそうです。
でも、植物から摂取できるようになり(果物)、合成をしなくなったそうです。
ビタミンを合成するのはとてもエネルギーが必要です。
つまり、進化の過程で不要なものは消えていき、必要なものは残る。
自然淘汰されるわけです。
この進化医学の考えが、
古典芸能やスポーツ、産業安全などに役立つのでは?
ヒントとなるのではと考えています。
つづく。
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