日本人の責任感 | 内藤堅志オフィシャルブログ「労働科学研究者 内藤けんしの"ちょっといい話かも!"」Powered by Ameba

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労働科学研究所 協力研究員。
第1種衛生管理者。
労働衛生・安全、技能伝承、ストレスを研究しています。成功、活躍した人を分析して「運」も研究しています!

はじめに‥‥
今回のブログは、報道の是非を問うものではなく、「労働科学を愛し」、「労働者を尊敬する立場」から日本の労働者の責任感、現場の人々の責任感を語るものです。


当時、『「第1原発の所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ離れた福島第2原発へ撤退した」』、『命令違反し撤退』などを聞いたとき、私は‥‥‥、


「本当かな」と思いました。


それはなぜかというと、私は仕事の関係で、福島第2原子力発電所、柏崎刈羽原子力発電所で調査をしたことがあります。


発電所を運転する人、保守をする人たちへの調査です。




そこで何を感じたか(これは調査結果とは別の結論です)、

・非常に責任感が強い。
・仕事に熱心。

ということです。



原子力発電所は様々な計器があるので定期的に計器を確認して異常がないかを調べます。
また、非常に重要な計器は常に監視をしています。


定期的に確認すれば良い計器でも、何か予感を感じたり、不安を感じたりすると定期時間外であっても確認をしたり、みんなで話し合ったりします。


また、異常が発生すると保守をする作業員さん達は「自発的」に調べに行きます。

多くの労働者と同じように、食事の時間でも、トイレに行きたくても、許されるかぎりの時間(放射線との関係)、原因を調べます。



そして、多くの方がこう言いました‥‥
「福島第1の運転員、作業員さんは一流ですよ」と‥‥。



彼らは、凄い責任感と運転員、作業員としてプライドを持って働いている人たちです。

2014年9月12日朝日新聞さんの記事です。
朝日新聞


この「現場の所員をたたえる」、現場を信じる気持ちが凄いと思います。
ただ、想定外が起きたことについては訓練不足だと思いますが。






も一つ、責任感を感じるできごとをお伝えします。

私は個人的に、航空自衛隊さんや、航空自衛隊航空医学実験隊さんへ見学へ行き、勉強させてもらいました。


皆さん、戦闘機に何かあったときの緊急脱出装置を知っていますか?


ときどき映画でありますよね。
飛んでいる飛行機のコックピットが開いて、椅子が飛び出し、パラシュートが開くシーン。
あれが緊急時の脱出装置です。

これが訓練用の脱出装置です。
射出装置



クイズです。

実際の飛行中に何かアクシデントがあり、緊急脱出したときの生存率はどのくらいだと思いますか??










「6割くらいの生存率」だそうです。



日本は諸外国と比較して生存率が低いそうです。



それはなぜか?



機体の異常を感じても、すぐに脱出せずに、墜落しても安全な場所まで機体を操縦して脱出するパイロットが多いからだそうです。



たとえば、平成11年11月22日、航空自衛隊入間基地所属のT-33ジェット練習機が入間川河川敷に墜落した事故があります。パイロット2名が死亡しました。

墜落による住民を巻き込む災害を防ぐため、必死の操縦によって安全な場所である入間川の河川敷まで事故機を誘導し、それを確認したのち脱出をしたそうです。

しかし脱出時には必要な最低高度の300mを下回っていたそうです。


1人はパラシュートが開かないまま墜落、もう一人は開いたが墜落しました。

*詳細がインターネット上に出ております。キーワード検索をしてみて下さい。



2人とも、数千時間を超えるベテランだったそうです。

自分の命さえ欲しければ、「パラシュートが確実に開く安全な高度」と「安全に脱出できる飛行体勢」で脱出ができたはずです。

(安定した飛行体勢で脱出する理由は、脱出時のGが9Gほどあるそうです。ですからパイロットの首が曲がったまま射出すると首の骨が折れます)



すごい、責任感です。



現代の社会、このように全ての労働者に責任感があるとは正直言えないと思います。

中にはすぐに逃げる人もいると思います。

それは一部の人たちでしょう。




多くは、このように「責任感」のつよい人たちだと思います。


先日、上越総合病院で講演をさせてもらいましたが、医療事故が発生しないように、全国の医療関係者はもの凄い努力をしています。

学校給食調理の調理員さんも、子供達に安全安心な給食を提供するために、もの凄い労力をかけています。


凄い責任感です。


これは日本の誇りです。



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