今回は、ストレスが睡眠に与える影響をお話しします。
前回、7月3日と5日に疲労・ストレスに関するお話しをし、両者は関係深いことを説明しました。
多くの方が、小学校の頃に‥‥
「遠足の当日、目覚まし時計が鳴るよりも速く起きてしまう」
という経験をしたと思います。いつもは寝坊をしているのに(笑)。
実は、「遠足」はストレスなんです。
おそらく、良いストレスになると思いますが。
でも、まれにバス酔いするとか、バスの中の歌が嫌だとか悪いストレスの場合もありますが(泣)。
この図を見て下さい。
この図は睡眠中のACTH(adrenocorticotropic hormone:副腎皮質刺激ホルモン)の分泌量を示しています。
一般的にACTHは“ストレスを受けると数値は上昇”すると言われています。
つまり、ストレスフルな状況になると高い数値を示します。
緑線は、「好きなときに起きてください」と言って寝てもらっ た場合です。7時ごろに起きますが、ACTHなだらかに推移しています。
赤線は、0時から6時まで寝て、6時前に突然起こした場合です。起こした時にACTHが上昇しています。
青線は、「6時に必ず起きて下さい!(自分で)」と言った場合です。起床の約2時間前からACTHは上昇しています。
以上をまとめると‥‥
・緑線は「いつ起きても良いですよ」:ストレスがない場合。
・赤線は「起きなければいけないストレスはあるが、誰か、もしくは目覚まし時計(機械)が起こしてくれる」場合です。つまり助けてくれる人・モノがある場合。
・青線は、「起きなければいけない」:ストレスフルな状態。
といえます。
つまり、翌日に何か大切なこと‥‥
・試験、 ・商談、 ・プレゼン、 ・試合
等があると、睡眠の質が悪くなるといえます。
図のタイトルにもありますが「起きなきゃと思うと生化学的にストレスがかかる」ことになります。
このような状態が、毎日続くと本当に疲れます。心もカラダも!
そこでどのようにすべきか??
翌日に絶対起きなければならない、遅刻できないイベントがあるとしたら‥‥
・誰かに起こしてもらう。
・目覚まし時計、モーニングコールを使う。
・イベントに慣れる。イベントを日常化させる。
ことが良いと思います。
これらを、複数使う事をお勧めします。
「試合が連日行われる」、「舞台の期間が長い」時には特に複数使い安心して(遅刻しない)睡ることが大切です。
7月3日、5日にもお伝えしましたが、睡眠は「疲労回復やストレス対処」に適しています。
そして、最後に過労研究の事例をご紹介します。
これは、過労死された方、過労自殺をされた方のご遺族にヒアリングをして得られた結果です。
(過労死、過労自殺を防止するための研究です)
この図を見て下さい。
ほとんどの方がお亡くなりになる前に「眠たいけれども眠れない」と発言しているそうです。
つまり、「眠たい」は副交感神経が優位な状態で、「眠れない」は交感神経が有意な状態です。
副交感神経と交感神経がほぼ同時に優位になっています。
精神・神経的に不安定な状態といえます。
そこで先日の「疲労とストレス」の考え方をあてはめると‥‥
こうなります。
「眠たい」は疲労状態を表している言葉です。
「眠れない」はストレス状態を表している言葉です。明日(未来)のことが気になり眠れません。
だから、ストレス対策(マネジメント)は重要なのです。
・スポーツ選手(負けられない)
・ビジネスパーソン(商談成立、お客様へのプレゼンテーション)
は不安を抽出し(構造化)、対策を立てることでストレスが軽減するはずです。
ストレスマネジメントを取り入れることで快適性やパフォーマンスが向上すると思います。
次回は、睡眠時間、具体的なストレス対処(マネジメント)をお話ししたいと思います。
*なお今回の内容は、公益財団法人労働科学研究所研究部長 佐々木司氏の話を一部内藤が解説しました。
白鵬のメンタル 人生が10倍大きくなる「流れ」の構造 (講談社プラスアルファ新書)/講談社

¥950
Amazon.co.jp