逃げ続けて何時間くらいたったのだろうか…
足がふらふらだ、どこかで休みたい…

少年は棒の用な足で森の中を歩いた。若い狩人に見逃してもらったはいいものの、森の中は寒さまで感じてしまうくらい暗かったのだ

どうしてこうなってしまったのだろうか、少年はこの森と同じような表情で森の中をあるいた

「…家だ」
森の中にポツンと佇む小さな家、老化していて蜘蛛の巣が目立ち、外壁の木の板には白い何かが沢山いた

普段なら絶対近寄りたくない所だが、少年は何かに引き寄せられるかのようにその古い家の玄関に立った

扉には白い小さな蟻のような虫がうじゃうじゃ、扉の向こうからは卵が腐ったような異臭

ギィィと、扉を開けば虫が木屑とともにボロボロ崩れ落ち、扉の向こうの臭いは一層きつくなった

とにかく休みたい、その心が少年を動かす

家の中に足を踏み入れると、床がギシリと悲鳴を上げる
廊下を歩いて奥に真直に進めば、広い部屋にでた。その部屋は異質だった

腐敗して骨へと変わった異臭の正体である小人が7人転がって、そして小人達は中央にあるガラスの棺を取り囲むように横たわっていた
中央のガラスの棺はというと…

うつくしい

それしか言えなかった
ガラスの棺の中に眠っていたのは自分と同じくらいの、更に言えば自分とよく似た少女で、とても軟らかそうな髪を広げ、枯れた花もの中に埋もれていた

しかしそこである疑問が生まれた

なぜ少女だけ腐敗していないのか
棺と花と周りの亡骸で、先に死んだのは彼女だということがわかる。しかし、先に死んだはずである彼女は現に美しさを保っている
ひょっとしたら彼女は人間によく似た人形なんじゃないかと思えてきた

彼女の顔をよく見ようとしたその時だった
足が小人の亡骸に躓きバランスを崩す
崩した勢いで前のめりになりガラスの棺の中へと倒れていく。棺の蓋はされておらず少女と思いっきりぶつかり枯れた花がヒラリと舞い、頭から星がクルクルと回転木馬

頭にコツンと、何かを感じた
起き上がり目を回転木馬にさせながら確認するとそれは一口大の果実の欠片だった

少女の顔を見れば目がパッチリと開かれており、パチパチと瞬きさえもしてくれる

これは一体何なのだろうか

枯れた花が満開の綺麗な花へと変わるように
腐臭が仄甘い臭いへと変わるように

ワタクシによく似た女の子は「Guten Morgen,」とほほえむのであった。