私は美しい物が好きだ。
また、美しき物を創る者も好きだ。
しかし、ここには醜いもので溢れかえっており何処もかしこも醜いものまみれた。それは嫌いだ。

ある日、醜いアヒルの子が私の作品に傷をつけた。それも、永久に直らない傷だ。ギリシアのアフロディテ大理石像は傷あっての美しき物だ。しかし、私が作った美しき物は醜い岩の塊へと変わった。美しき物が一瞬にしてバラバラになったのだ。

しかし、美しき物が醜くなる瞬間は酷く美しく、私の胸を締め付け熱くさせ、爆発させたのだ。

気が付けば白一色、もとい大理石一色の美しき部屋は白と赤のコントラストのうつくしきものへと変貌させた。

(そうか、この感情の高ぶり、これこそが

―芸術なのか)

一羽の烏は白亜の羽をうつくしく染め上げた。アヒルはそれを「愚かなことだ」と言った。

烏は紅白の部屋で今日もうつくしきものを創り出す。現在彼の服装は赤いジャケットに青いジーンズ。赤いジャケットからはうつくしき香りが漂う。

今日はとても機嫌が良いんだ、何でだろうね?と、不思議そう烏はペットである三匹の犬に語りかける。犬はそんな事一切きにせずおやつの菓子を頬張る。食べている菓子はソップと呼ばれるギリシャの菓子だ、見てるだけで甘い。

今日は油絵にしよう、烏は脂に筆をつけた。
脂は彼のジーンズに黒い染みをつけた。


ある日、家に来客が訪れた。来客者は皆青い服を着たアヒルだった。

「そんなに私のうつくしきものが見たかったら見せてやろう、今日はとても機嫌良いんだ。」
烏は酷くうつくしい笑みを浮かべキャンバスに火を近づける。

「芸術は―――」

爆発音と炎はあっという間に広がり、部屋全体がうつくしきものへと変わる。
血という脂がたっぷり染み込まれたキャンバスはあっという間に燃え広がる、そしてヒーターへと燃え広がり、それは芸術となった。

焼け落ちた家から現れたのは三匹の犬と、白いワイシャツに黒く焦げたジーンズの烏。赤いジャケットは芸術になった。既にうつくしきものは醜い物へと変わり果てた。
醜い物に要はない。さぁこの甘美を我が同胞に伝えよう。烏と犬は酷く鬱くしい笑みを浮かべた。


―――
珍しく解説。

烏は悪魔としてのケルベロス、犬は神話としてのケルベロス。
美意識は烏限定で犬は甘味に興味。

烏はうつくしきものを探しに犬を巻き添えにしてアッシャー(ここ)へ。犬は甘味よければ全てよし という具合。