「ヴェー…ドイツ遅イヨォ…」
あまりにもドイツさんが遅いため、イタリア君が不安げな顔をする。

「そのようですね…何かあったのでしょうか」
その表情に吊られ、私の声は不安そうに聞こえた。

先程から胸が痛い。もう死んでしまったのに、痛みが生じるのは何故でしょうか…?





「これは…」
刀を掴んだ瞬間、頭に唄が流れてきた。

声の主は、男だった。
雑音まれで聞き取り辛い唄だった。

その流れてくる唄に耳の神経を集中させる。

だがやはり駄目だった。だが、唄の最後の断末魔は聞き取れた。

気が付くとその刀は、一冊の童話へと変わっていた。

タイトルは無し。

ページをめくると文字は外国の言葉で書かれていた。

「これは本田の兄の童話なのか…?」





ドイツさんが帰って来ました。
ドイツさんは一冊の本と、それと それ、と







「キク?ドウシタノ?何処カ具合デモ悪イノ?涙拭イタ方ガイイヨ…」

「え、あ、はい、ありがとうございます…」
イタリア君が不安そうにこちらを見上げて、お手拭きを差し出した。

此処で私は初めて気付いた。

私が無意識に泣いていた事に。

「…泣かせてしまい、済まない。」
ドイツさんが戸惑った表情をする、
「いえ、ドイツさんのせいではありません。私が勝手に泣いたのですから。」
でも、やはりドイツさんが抱えている物を見ていると涙が溢れ出してしまう。

初めて目にする物なのに、初めて見たような気がしないのです。
毎日見たような、いえ、必然的に見ていた気がします。


「本田、一旦休もうか。」
ドイツさんに気遣われ、休憩を已むなくされる。
「ドイツ、キク!此処デ休モウヨ~」
イタリア君が見つけてくれた桜の木の下で休む。




桜の木の下で休む
日陰が心地好くて気持ち良い。

ある程度時間が立って、ドイツさんが頼み事をしてきました。

「本田、急ですまないが」
この唄を唄ってくれないか…?



ドイツさんの手が差し延べられる。

その手には一冊の本。

受け取るとそれはまばゆい光を放ち、一冊の童話へと変わった。




タイトルは「火刑の兄」