色欲[Wollust]
髪を二つに束ね、眼鏡をかけた娘に暗示をかける。

「宵闇に朽ちた楽園。 吊された屍達。
お前は何故この境界を越えてしまったのか。
さぁ、唄ってみろ」

屍姫は口を開き、過去の残照を語りだした。

その城からは、魔獣の狂喜に溢れる笑い声が響いてく。


頭の中がもやもやした霧で覆われている。その中の朧気な記憶を辿って…
曖昧な自分を描いたか。長い間死んでいたから、思い出すのに時間がかかった。

どんな顔で笑いどんな声で歌ったのか…
お気に入りの青いエプロンドレス[Dress]が何故こんなに緋いのか

服にべたりと着いた緋。その緋は彼女の朧気な頭に血を連想させた

嗚呼…そうだ…私は…
あいつに…殺されたんだっ…た……

私には、幼なじみがいた。
幼なじみであるあいつは何時からか、自他認める変態になっていた。

少なくとも、私が物心付いた時から もう既に呼ばれていた気がした。

昔は童顔で、あんなに異性に間違われてたのに、暫く会わないうちに綺麗に整った顎には髭が生え、脚や腕の毛は濃くなり、男らしく…いや、変態がますます変態になったわ。
あいつと再開する前、私達の住む国で戦争が悪化した。その戦争相手国は、私の祖国だった。あいつは私をあいつの住む城に匿い、その後あいつは戦争に行ってしまった。戦争が無事に帰ってくるようにと、私は祈り続けた。誰にも気付かれないように。


ある朝、あいつが城へと帰ってきた。長い間合って無かったからなのか、長い戦争での疲れが溜まってるのか、わからなかったけどあいつの表情は何処か覚束なかった。


その後私達は結婚したけど、あいつの表情は曇ったままで、私に笑顔を向けてくれなかった。何故笑ってくれないのか、疑問私は思った。そしてとある推測が出来、次第に核心へと変わっていった。それと同時に、大切な何かが急速に渇いていった。