傘よ、ごめんなさい
集中的な豪雨にあった翌朝のことです。出勤途中のMさんは、無残にも道端に投げ捨てられた何本ものビニール傘を目[ま]の当たりにしました。どの傘も骨が折れて使い物にならない状態でした。
骨が折れてしまったビニール傘なので、2度と使えないことは誰が見ても明白です。<これらの傘を使った人たちは、物に感謝ができているのだろうか>と、Mさんは悲しい気持ちになりました。
Mさんは所属する勉強会の中で、「物は生きている。純情の発露[はつろ]である愛によって、物はつくられ、その人のために活用される」と学んできたからです。
その言葉を思い出し、<傘は豪雨の中でも、人のために骨が折れるまで必死に雨から守ってくれた。必要がなくなったからと、このような所に捨ててしまってごめんなさい>との思いで、道端の傘を回収したのでした。
物に囲まれ、物に支えられて生かされているのが私たちです。もの言えぬ物だけに、「ありがとう」と感謝の心で使用していくことが大切なのです。
今日の心がけ;物にも感謝の心を向けましょう
<社団法人倫理研究所 法人局「職場の教養」より転載>