アヤちゃん、アヤちゃん。今さあ……黙祷、してたよ。
市長の挨拶があってね、「市民の皆様にもご協力お願い致します」って。
そういえば今日は8月9日だったね。
6日は一日留守にしていて市内の様子が分からなかったけど、やっぱり黙祷したのかなあ。
1分間。
その1分間、蝉も鳴くのをやめて、鳥の囀りさえも聴こえなかった。
ホントに偶然だし、気温とかの関係だって分かっているけれど、
何だかね、
空気が澄んで、神聖な感じがしたよ。
薄く木漏れ日が射す深い森の中で仰向けになって目を閉じて。それで深呼吸している感じ。
あの、自然に溶け込む感覚。
頭が妙に冴えてね、体が熱くなるんだ。
何だろう、何言ってるんだろう。
疲れてるのかな?
何を感傷的になっているんだ、と茶化してやることもできる。
けれど、たまにはこんな日があってもいいと思うんだ。
今日の彼女の感覚は、「疲れてる」から、で済ませるのには勿体ない気がして。
明日、晴れたら。
部活をサボって山にでも登って来ようかな。
バイクを飛ばして、日本アルプスに。
頂上までは行けなくていいから。
「自然との一体感」という自己満足を得に。