昨夜、ジョン君は学友達と河原で花火をして来たそうだ。
久し振りに楽しい時間を過ごせたらしい。

けれど彼女に言わせれば、その帰り道の方が楽しかったのだと。
眠気も手伝って自分の考えを素直に話せた、と言っていた。
ジョン君のことだから、何か興味深い話をしたに違いない。
知的好奇心を煽られて、その内容を訊いてみた。



人との付き合い方のことなんだけど。
私は浪人してるから、周りのコより年上じゃん?
でもきっと彼女達はそんなこと気にしないで付き合ってくれている。
それは私がそう望んでいるからで。
けど、私は彼女達を私と対等だとは思っていない。
勿論見下しているわけではないけれど。
だから、彼女達の言動のほぼ全てを許容できる。
そういう付き合い方をするのは、性分なんだろうな。
1つでも私より年下なら、私といるときは自由にできるようにしてあげたい。
我慢したりするのは私だけでいい。
私が全部呑み込むから、その子達は本当に自由にすればいい。
ご飯を奢ることも自然にできる。
逆に、対等かそれ以上の人にはそういうことはしない。
全てを許容するなんて有り得ないし、何かを奢ることもない。
喩えその人が年収で私より劣るとしても。
貸すことはあっても、あげることはない。
尊敬する人や私を上回る人、私と対等な人にそれをするのは失礼だ。
だから私は、対等でありたい人には絶対に奢らない。
これを一種差別的に受け取る人もいるだろうけれど、これが私の信条だ。



僕が彼女を尊敬する点は、実際に信条に沿って行動している点だ。
言葉や考えに酔うだけなら誰だってできるのだから。

それにしても。
ジョン君からこんな話を引き出せる人がいることに驚いた。
同期生の男の子だそうだから、僕らより1つ年下ということになる。
何だか僕も、彼と話をしてみたくなった。