マラが来るぞよ!
「なぁ、悟りを開くってなんだと思う?」
『そんなこと知らないわよ!
なんでアンタは変なことばかり聞くの?』
「いやぁ、おれ悟り開こうかと思ってさ。
はは。(笑)」
『開いた口が塞がらない!
アンタは地獄行っても糸もたらしてもらえないでしょ?』
「ぶざけんな。そうめんくらい垂れてくるだろうよ!」
『うーん。だから
子供が殺人して刑務所入ろうが、
夫が他で家庭作ろうが、
堂々としてることが
もう悟りを開いたってことなの。』
「え?じゃぁ、悟りを開くってさ、
ただの周りのヤツの評価なわけ?」
『そうそう。ただの周りの人間が
あの人悟りを開いてるって
言ってるだけのことなの。』
「ああ、本当に悟り開いてる人は
自分で『ワシは悟りを開いたぞよ!』
なんて言わねぇもんなぁ。」
『でも子供が刑務所入ったら
堂々としてられないのが人間でしょ?』
「まぁねぇ。そうだけど
おれが思ってた悟りって
人間を超越してるものだと思ってたなぁ。」
『人の範囲内で
何を言われようと堂々としてれば
もう悟りってことなの。』
「でもさ、坊さんでも欲望を抑えられない
人だっているじゃん。」
『別に人間の欲望って悪いことじゃないよ。』
「なんで?乱交したいとかも?」
『だって、尼さんで「マラが来るぞよー!」って
絶叫して死んでいった人だっているんだから。』
「はは!最後がマラって人間らしいなぁ。
性欲丸出しじゃん!」
バカな親子の『悟りについて』でした。
おしまい。