昔、ぐるぐるキャンディを誕生日にもらったことがある
桃の味だった気がする

お返しに自分も
ぐるぐるキャンディをあげたのだが
「あんまり好きじゃないんだよね」と、
意外な答えに驚いたが悲しくはなかった
というより、こんなことで悲しくなれるかという気持ちでもあった
それ以来、ぐるぐるキャンディを食べることがなくなった

ガムを噛んでるより、飴をなめてる方が好きだった自分は一時期、いろんな種類の飴玉袋を買って鞄の中や、机の上に散乱させた



でもある日、飴をなめることをやめた
虫歯になったとか、飽きたとか、そんな理由じゃない
ただ単純に虚しくなったからだ

あんなに大きくほおばっていた飴玉がたった少しの時間で、知らない内に消えるのだ
そんな寂しいことがあるだろうか
あとに残った飴の味が、どうもすっきりしない
それに消える間際の形は、いびつで口の中にちくちくとした痛みを与える消える飴ほど、こんなに嫌なことはない
なめてても、いい気分にはなれない
それどころか不快だ


それ以来、飴をなめなくなった


ある日、ペロペロキャンディを渡された
「おいしいよ」
渡す時にあんな顔をされては断れない
そもそも嫌いではないのだから、いいだろうと思い
袋からだし、口に運んだ
懐かしい味が広がった
口周りが少し、べたべたするけれど
それもまた懐かしい

なめることに夢中になり話が先に進まなかった

こんなにも優しかっただろうか

飴をなめおわった時、ふとため息を漏らした

唇をぺろっとなめて、再び味を確認した



乱暴になめても気づかないものがある
けど、悩んだとき、悔やんだとき、
なめるとふっと優しさに包まれ、癒される
オーバーだが、ほんとにそう思う


「おいしかった」
まだ微かに唇の上から葡萄の香りがした

「じゃあな、遊ぶとき誘えよ!」
そう言ってみんな一斉に大荷物を抱え教室を出る
この光景から夏休みが始まるのはみんなもご存知だろう

しかし、こんなたわいもない光景から怪奇現象が始まるのも知っていただろうか



まるまる一カ月ある夏休みの中で、会うことない友達も一人くらいはいるはず
もしかすると、会う友達の方が少ない場合もある
そして長い休みを終え、再びクラス全員が揃うとき怪奇現象は始まる

「あれ、お前かわった?」
「そうかな?」
幼かったようなやつが、大人っぽくなったり
太ってたやつが、突然痩せたり…
そんな現象にはちあわせたことはないだろうか



四ヵ月ぶりに会う友達とカラオケに行った
髪が金に染まり、ぱっと見分からなかった
「あれ、お前かわった?」
もうちょっとで手が届きそうなときがある

半額で自分の欲しいもの
自動販売機の下に落ちた100円玉


誰しも経験のあることだろう

けど、その一瞬を逃し
一生後悔することになったことがあるだろうか


自分はまだそんな経験に立ち会ったことがない

ただいつか来るであろうそんな日を
これから黙ってまたなければならない



そう考えると悲しくて、時に悔しい



今の自分が、未来の自分のためになにかできるはず

勉強?貯金?我慢?
わからない

ただ分かること
それは今を一所懸命に生きること
明日が来たとき
「昨日はよかった」
と思える今日を作ろう
そうすれば後悔することなんてない



ただそれでも
たった一瞬の行動、思考、言葉で世界が180度変わってしまう時がある

パラレルワールドにどんな自分が住んでるかなんて想像できない
けど時々おもう
今の自分で良かったな、と


もうちょっと、と思うほどの後悔をしてもマイナスにならない自信がちょっとだけ、ある

そういう経験をしてきっと、人の気持ちを考えてあげられる大人になると思うからだ





今、頭の中に流れてる曲があるがなんだか思い出せそうにない
ただ、もうちょっとで思い出せそうだ
ほんとに、もうちょっとで