昔、ぐるぐるキャンディを誕生日にもらったことがある
桃の味だった気がする
お返しに自分も
ぐるぐるキャンディをあげたのだが
「あんまり好きじゃないんだよね」と、
意外な答えに驚いたが悲しくはなかった
というより、こんなことで悲しくなれるかという気持ちでもあった
それ以来、ぐるぐるキャンディを食べることがなくなった
ガムを噛んでるより、飴をなめてる方が好きだった自分は一時期、いろんな種類の飴玉袋を買って鞄の中や、机の上に散乱させた
でもある日、飴をなめることをやめた
虫歯になったとか、飽きたとか、そんな理由じゃない
ただ単純に虚しくなったからだ
あんなに大きくほおばっていた飴玉がたった少しの時間で、知らない内に消えるのだ
そんな寂しいことがあるだろうか
あとに残った飴の味が、どうもすっきりしない
それに消える間際の形は、いびつで口の中にちくちくとした痛みを与える消える飴ほど、こんなに嫌なことはない
なめてても、いい気分にはなれない
それどころか不快だ
それ以来、飴をなめなくなった
ある日、ペロペロキャンディを渡された
「おいしいよ」
渡す時にあんな顔をされては断れない
そもそも嫌いではないのだから、いいだろうと思い
袋からだし、口に運んだ
懐かしい味が広がった
口周りが少し、べたべたするけれど
それもまた懐かしい
なめることに夢中になり話が先に進まなかった
こんなにも優しかっただろうか
飴をなめおわった時、ふとため息を漏らした
唇をぺろっとなめて、再び味を確認した
乱暴になめても気づかないものがある
けど、悩んだとき、悔やんだとき、
なめるとふっと優しさに包まれ、癒される
オーバーだが、ほんとにそう思う
「おいしかった」
まだ微かに唇の上から葡萄の香りがした