親父は仕事が早い。忙しい中、俺の働き口を次の日には見つけてきた。
「子供服の売り場に空きがあったんで そこなんてどうだ?」
早っ!
「藤丸のですか?」
親父はきょとんとした顔をして
「当たり前じゃん。どこのだと思ったのよ?」
いや 藤丸でなければダメなんだけどね。とりあえず、ここは驚いたふりでしょう。
「いえ 百貨店って言うとしっかりした身元じゃないと雇ってくれないんじゃって思ったから」
「そこは 俺のいとこってことで話を付けたから気にしなくてもいいよ。」
いとこかぁ。 実際は親子なんだけどなぁ。
「ありがとうございます。俊明さんに決して迷惑をおかけしないよう頑張ります。」
ちょっと 感激したりして。
「で 名前なんだけどさぁ。俺のいとこってことなんで 勝手に決めさせてもらったから 萩山 俊介ってことで どう?」
「。。。。。。。。あ は はい いいです。」
それ 俺の本当の名前なんですけど! な なんで? なんで俺本名で。。。
「じゃ 明日から研修で入ってもらうから。もう売り場のチーフには渡りつけてるからさ」
「わかりました。よろしくお願いします。」
しかし びっくりだ。親父が俺の本名を俺に付け てくるとは、考えてもいなかったよ。
ま、この時代で生きた俊介くんもいずれ消えるんだ。